能登半島地震 “救助に全力を 輸送課題解消急ぐよう指示”首相

能登半島地震を受けた政府の対策本部で岸田総理大臣は、生存率が急激に下がるとされる72時間が4日夕方に迫る中、救助に全力を尽くすとともに、被災者に円滑に物資を届けるため道路の復旧など輸送面の課題の解消を急ぐよう指示しました。

今回の大地震を受けて、政府は4日午前、総理大臣官邸で3回目となる「非常災害対策本部」を開きました。

この中で、岸田総理大臣は「今もなお倒壊した建物の下に取り残され、助けを待っている被災者がおり、家族も悲痛な思いで帰りを待っている。命を守る観点から重要な被災72時間が経過するきょう夕刻までに、現場の総力をあげて1人でも多くの方を救命、救助できるよう全力で取り組んでほしい」と述べました。

また「寒い冬場、被災者は不自由かつ、厳しい生活を余儀なくされている。高齢者や子ども、病気を抱えている方もいる。避難が長期化する可能性もある中で、迅速かつ持続的な被災者支援が極めて重要だ。食料や毛布、紙おむつなど、避難所に多くの物資を円滑に届けるためにも、道路の復旧など輸送面の課題の早期解消を目指してほしい」と指示しました。

さらに「物資の供給と並行し、水道や電力などもスピーディーな復旧作業に全力を尽くしてほしい。現場に寄り添い、総力を結集して取り組んでほしい」と述べました。

“物資支援強化に予備費の閣議決定へ”

岸田総理大臣は、総理大臣官邸で記者会見し「現場の状況は大変厳しい状況にあるが、命を守る観点から現場の総力を挙げて1人でも多くの方の救命救助を目指していく」と述べました。

また「一部物資はすでに被災地に届きつつあるが、今後、物資や燃料の輸送により適した大型車両が通行できるよう関係事業者との連携により、早期の経路確保を図っていく。本日中の大型車通行確保を目指して作業を推進する」と述べました。

そして「プッシュ型の物資支援をいっそう強化するため、週明け9日に予備費の閣議決定を行う。今後とも財政措置を臨機応変に講じていく」と述べました。

“予備費の規模 過去の事例と比較し倍近くに”

岸田総理大臣は予備費の規模について「今精査中だが、寒さが本格化する中、寒冷対策や避難所対策の強化にも万全を期していきたいと考えている」と述べました。

そのうえで「過去の災害時も発災直後にプッシュ型物資支援の財源措置を予備費で講じてきたが、寒冷対策や避難所対策の強化を加味すれば平成28年の熊本地震の23億円、平成30年7月豪雨の20億円、令和2年7月豪雨の22億円といった過去の事例と比較しても、倍近くになるのではないかと考えている」と述べました。

“自衛隊の総数 きょう中に4600人に増強”

岸田総理大臣は、総理大臣官邸で記者会見し「避難が長期化する中で、被災自治体のニーズを確実に吸い上げることが重要だ。そのきめ細かな把握のために自衛隊が個々の避難所を回り、ニーズの聴き取りを行う。このような対応のためにも、自衛隊の総数は、きのう2000人程度であったが、きょう中に4600人に増強する」と述べました。

“物資届けられるよう 一般の車両できるかぎり利用抑制を”

岸田総理大臣は、総理大臣官邸で記者会見し「現在、限られた輸送ルートに一般の車両が殺到し、深刻な渋滞が発生している。被災地へ速やかに必要な物資が届けられるよう、できるかぎり利用を抑制してもらうことについて、国民の理解と協力をお願い申し上げる」と述べました。

“現地視察 適切な時期を判断”

岸田総理大臣は記者会見で「私自身の現地視察については、発災72時間という時間を前にして、今、時間との戦いに全力で取り組んでいるところだ。現地の状況をしっかり把握したうえで適切な時期を考えていかなければならない。今現在、具体的な日時は決まっていないが、適切な時期を判断したい」と述べました。

“救助活動 ヘリでも全力でアクセス試みている”

岸田総理大臣は、総理大臣官邸で記者会見し「きょう午前9時の時点で、警察では138件の要救助事案を確認し、救助活動にあたっている。65件について対応を終了し、少なくとも49件については、対応中、またはきょう中に対応の具体的な見込みが立っている」と述べました。

そして「道路の状況などでアクセスが困難な24件についても、きょうはヘリが飛べる環境にあるという報告を受けており、朝から全力でアクセスを試みているところだ。現場の総力を挙げて、1人でも多くの救急、救命救助を目指していく」と述べました。