【医療・生活支援状況 3日】「DMAT」 医療支援を開始

1日に石川県能登地方で震度7の揺れを観測した地震では、被災地支援の動きが始まっています。

被災した地域では災害派遣医療チーム「DMAT」の医師や看護師などが全国各地から到着し、被災した病院や避難所などで1人でも多くの命を助けるための医療支援が始まりました。

医療や介護、食糧の支援や、金融機関や携帯大手などの動きをまとめました。

【医療や介護の支援の動き】

災害派遣医療チーム「DMAT」 80を超えるチームが集まる

災害派遣医療チーム「DMAT」は、石川県七尾市にある公立能登総合病院に拠点を置いています。

3日午前9時までに富山県や岐阜県といった近隣の県を中心に、80を超えるチームが集まっています。

「DMAT」は被災した地域の病院の状況の確認や必要な物資の把握を行っているほか、避難所などで被災者のけがや体調の確認にあたっているということです。また、必要に応じて金沢市内の医療機関に患者を搬送しているということです。

災害派遣医療チーム「DMAT」 医療支援を開始

地震で多くの家屋が倒壊し救出活動が続く中、被災した地域では災害派遣医療チーム「DMAT」の医師や看護師などが全国各地から到着し、被災した病院や避難所などで1人でも多くの命を助けるための医療支援が始まりました。

災害派遣医療チーム「DMAT」は大規模災害の際などに専門的な訓練を受けた医師や看護師などが派遣されるもので、地震発生から3日目の3日に活動の拠点となっている石川県七尾市の公立能登総合病院には多くの医療従事者が集まり、活動の方針を話し合いました。

この中で、被災した地域の医療機関では医薬品や水が不足し、十分な医療が提供できていないことや避難所ではけがをして病院への搬送が必要な避難者も複数いることなどが報告されました。

このあとさっそくチームごとに分かれて支援が必要な現場へ向かい、岐阜県の中部国際医療センターなどの6つのチームは、避難者の数が1000人規模と非常に多くなっている能登町や珠洲市の避難所へ向けて出発しました。

「DMAT」として派遣された中部国際医療センターの山田実貴人副病院長は、「発生から最初の3日間は、自分の傷が重傷かどうかわかっていない人も多いので、助けられる人を見つけ出し適切な医療を行えるようできるだけ速やかにつなげることがいちばん大事だ。1人でも多くの人が助かるよう全力を尽くしたい」と話していました。

富山 氷見 保健師が避難所を巡回 避難者の健康チェック

富山県氷見市では市内10か所の避難所に100人余りが避難していて、保健師が避難所を巡回し避難者の健康チェックを進めています。

お年寄りなどおよそ50人が避難している「氷見市ふれあいスポーツセンター」には市の保健師が訪れ、避難している人たちの血圧を測ったり、体調に不安を抱えていないか尋ねたりしました。

長時間、同じ姿勢でいると「エコノミークラス症候群」を発症することが懸念されるということで、保健師はつま先やかかとを上げ下げしたり、足首を回したりするなど軽い運動をして血流をよくするようアドバイスしています。

また、避難所では衛生環境が悪化し感染症のリスクが高まるとして、アルコール消毒などを徹底するよう呼びかけていました。

妊婦健診 避難先の自治体でもできるよう通知 こども家庭庁

こども家庭庁は災害救助法の適用となった石川・新潟・富山・福井の4県の自治体の妊娠中の女性について
▽避難先の自治体でも妊婦健診が受診できるよう新たに受診券を交付することや
▽妊婦健診や出産予定施設について必要に応じて調整することなどを全国の自治体に通知しました。

厚労省 処方箋なくても薬受け取れるよう都道府県などに通知

厚生労働省は今回の地震で被災した人たちが、医師が出した処方箋を持っていなくても医師の処方が確認できれば患者が薬を受け取れるようにするよう都道府県などに通知を出しました。

薬を受け取れる条件としては、地震の影響で交通手段がなくなったり近くの医療機関が被災したりして医師の診察を受けることが難しい場合に、薬剤師が主治医などと電話などで連絡をとり処方の内容が確認できることとしています。

そのうえでさらにやむをえない場合の対応として、主治医などと連絡が取れなくても処方内容が安定した慢性疾患によるものであることがお薬手帳や薬の包装などにより明らかな場合には、事後的に医師に処方内容を確認することを条件に処方を認めるとしています。

石川県内の被災地 医師の処方箋なくても薬局で薬購入可能に

石川県によりますと、県内の被災地では医師の処方箋がなくても薬局で薬を購入できると厚生労働省から2日、連絡があったということです。

対象は野々市市と川北町を除く県内の17の市と町です。

病院がけが人の手当てなどに追われていることから、持病の薬がほしいといったニーズに対応するとしていて、県は薬剤師会を通じて薬局などに周知することにしています。

介護サービス 被保険者証なくても利用可能へ 厚生労働省

厚生労働省は今回の地震で被災した高齢者で介護保険の被保険者証を提示できない場合でも、介護サービスの利用を可能とするよう、災害救助法が適用された自治体がある4県に対し通知を出しました。

また、高齢者が被災して介護サービスの利用料を支払えない場合には、市町村の判断で、負担の減額や免除を認めるほか、65歳以上の高齢者が支払う介護保険料についても、減額や免除、それに支払いの延期を認めるとしています。

さらに地震の後、自宅や通常の避難所での生活が難しい高齢者が出ることが想定されるとして、全国の市町村や介護事業者に対して、受け入れ態勢に余裕がある施設については、定員を超えても高齢者を受け入れるよう求めています。

定員を超えると、通常は事業者に支払われる介護報酬が減額されますが、今回の地震に関連した被災者などを定員以上に受け入れた場合は、減額はされないということです。

【食料や水 物資の支援の動き】

農水省 2日からパックごはんや粉ミルクなど発送開始

農林水産省は、3日午前、今回の地震を受けた対策本部の会議を開き、坂本農林水産大臣が被災者への食料支援を引き続き迅速に行うよう指示しました。

農林水産省によりますと、石川県からの要請を受けて2日から、被災地に向け、パンやパックごはん、即席麺や粉ミルクの発送を始めたということです。

このうち一部は、石川県内の中継地点に到着していて、今後、各地の避難所などに届ける予定だということです。

石川 支援物資受け入れ担う“専門チーム”立ち上げ 発送作業へ

石川県は2日、全国各地から届いた緊急物資の受け入れや被災地に向けた配送の調整を行う専門のチームを立ち上げました。

金沢市内には、国や自治体、それに災害時の協定を結んでいる企業などから届いた物資を集約する拠点が設けられ、パンや飲料水、携帯トイレなどが次々と運び込まれていました。

職員は自衛隊員とともに、自治体のニーズや人口規模に応じて仕分けた物資をトラックに積み込んでいました。

一方、輪島市や珠洲市は道路が被害を受けた影響で4トン以上のトラックが通れないため、自衛隊のヘリコプターで運んでいるということで、午後3時半ごろにも輪島市に向けてパンを積んだヘリが飛び立っていました。

チームでは今後、自治体ごとの詳細な支援物資のニーズや、どのような車両やルートなら陸路で物資を運べるかなど、情報の整理を進めていくことにしています。

現場の責任者を務める中野茂光さんは「まさしく皆さんが必要としているものがここに届いているので、いかに効率よく適切な場所に運べるかを大事にしていきたい」と話していました。

石川 志賀町 ブルーシートなど配布 給水を開始

石川県志賀町は、3日から災害用のブルーシートと土のう袋の配布をはじめ、住民が役場に受け取りに訪れていました。

60歳の女性は「自宅の瓦屋根が崩れて屋根に穴が開いてしまいました。雨が心配なのでシートをかぶせたい」と話していました。

48歳の男性は「自分でかぶせるのは難しいので業者を呼びたいが、今日は難しそうです。シートはなかなか手に入らないので配布してもらえるのは助かります」と話していました。

また志賀町は、ほぼ全域で断水が続いていることを受けて、町内2か所で給水を始めました。

このうち町役場近くの施設では、訪れた住民たちが用意した容器に自衛隊の車両から給水していました。

53歳の女性は「給水は本当にありがたいです。暖かい食べ物を食べたいので料理に使おうと思います」と話していました。

【金融機関の動き】

日本損害保険協会 保険料払い込みを最長6か月間猶予と発表

今回の地震を受けて、日本損害保険協会は災害救助法が適用された地域で被害を受けた人に対し、保険料の払い込みを最長で6か月間猶予するなどの特別措置を発表しました。

対象となるのは、火災保険や自動車保険、それに傷害保険などの各種保険で、自賠責保険は対象から外れます。

特別措置では契約を更新する手続きと保険料の払い込みについて災害救助法が適用された日から最長で6か月間、ことし7月末まで猶予するとしています。

ただし、損害保険会社によって猶予の期間が異なることもあるため、契約者は、自分が契約している損害保険会社や保険代理店に確認するよう呼びかけています。

通帳・印鑑紛失でも預金払い戻しを要請 財務局など

今回の地震で北陸財務局と関東財務局はそれぞれ日銀とともに、災害救助法が適用された石川県、富山県、福井県それに新潟県の被災者に適切に対応するよう、各金融機関に要請しました。

このうち銀行や信用金庫などに対しては、預金者が通帳を紛失した場合でも本人であることが確認できれば預金の払い戻しに応じることや印鑑が無くても指印で対応するよう求めています。

そして、事情に応じて定期預金や定期積金の期限前の払い戻しに応じることを求めています。

また、証券会社に対しては、有価証券を紛失した場合の再発行手続きに協力し、証券の売却などの申し出があった場合には可能な限り払い戻しに応じてほしいとしています。

さらに生命保険会社や損害保険会社に対しては、保険証券や印鑑を紛失した場合でも保険契約内容が確認できれば可能な限りの対応をとることや、保険金の支払いをできるだけ迅速に行うよう配慮を求めています。

【通信サービスなど 支援の動き】

携帯大手4社 料金減免など支援措置

携帯大手4社は、地震で被災した利用者を対象に支援措置を行うと発表しています。

▽NTTドコモは固定通信サービスの基本料金の減免や修理費用の無料化や減額、利用可能なデータ通信量を超えた場合の通信速度制限の解除、

▽KDDIは、固定通信サービスの基本料金の減免や携帯電話サービスの利用料金の支払い期限の延長、破損や故障、紛失の手続きの減免、▽利用可能なデータ通信量を超えた場合の通信速度制限の解除、

▽ソフトバンクは固定通信サービスの基本料金の減免や携帯電話サービスの利用料金の支払い期限の延長、修理費用や機器交換の無償化など、

▽楽天モバイルは、SIMカードを再発行する際の手数料の無料化や利用料金の支払い期限の延長などをそれぞれ実施するとしています。

【住宅などの支援】

富山 高岡市 「応急危険度判定」開始 住宅倒壊のおそれなど確認

震度5強を観測した高岡市では、各地で住宅が傾いたり道路が液状化したりする被害が出ています。

3日朝から市の職員10人が地域を回り、被災した住宅に倒壊するおそれなどがないか確認する「応急危険度判定」を始めました。

このうち高岡市の伏木古国府では、「判定士」の資格を持つ職員が被災した住宅や店舗などを訪ねました。

2階建ての飲食店は軒先の瓦が落ちそうになるなどしていて、職員は建物が傾いていないかや屋根や壁から落ちそうなものがないか慎重に確認していました。

調査を終えた職員は判定結果を記した紙を建物の外壁に貼っていきました。

市は最も危険度が高い「危険」と判定された住宅には立ち入らないようにするほか、「要注意」とされた住宅には十分注意して立ち入ってほしいとしています。

「調査済み」とされた住宅は使用が可能だということです。

【被災企業への支援】

経産省 政府系金融機関に柔軟な対応要請

経済産業省は被災した中小企業などでは資金繰りが厳しくなるおそれがあるとして、政府系金融機関に対して柔軟な対応を要請しました。

要請では▽日本政策金融公庫▽商工中金=商工組合中央金庫▽信用保証協会に対して、相談を寄せた中小企業などに窓口で親身に対応することや適切な貸し出しを行うこと、それに債務の返済期限を延ばすなどの条件変更について、柔軟に対応するよう求めています。