【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(1月1日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる1日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ゼレンスキー大統領 新年前に演説

ゼレンスキー大統領は31日、新年を前にしたテレビ演説を行いこの1年を振り返りました。

このなかで、ゼレンスキー大統領は、ウクライナは歴史上もっとも厳しい冬を乗り越え、黒海ではロシア海軍の力を封じ込めることに成功したなどと指摘し「ウクライナは強くなった」と述べ、国民を鼓舞しました。

そのうえで欧米からの供与を受けて導入するとしているF16戦闘機について、ウクライナ軍のパイロットがすでに操縦訓練を開始していることを明らかにしたうえで「敵は私たちの怒りを目の当たりにするだろう」と強調しました。

さらに国内での兵器の生産も強化し、2024年中に、少なくとも100万機の無人機を生産するという約束を繰り返し表明しました。

ゼレンスキー大統領としては、去年6月に始めた反転攻勢がこう着状態にあるなか、航空戦力の強化で戦況の打開につなげたいねらいがあるとみられます。

外出禁止令のなか静かな新年に

ウクライナの首都キーウではおととしの軍事侵攻以前は、大みそかの夜に中心部に大勢の人たちが集まって新年を祝っていましたが、現在は夜間の外出自体が認められていません。31日夜は人が出歩く姿は見られず、日付が変わって午前0時を迎えると時計の鐘が静かな街に鳴り響いていました。

ウクライナでは先月28日時点で630万人余りが国外に避難していて、多くの家族が離れ離れのまま新たな年を迎えています。

キーウで暮らすセルギー・マツォーラさん(50)は、軍事侵攻開始直後に妻と長女が自宅を離れ、現在は避難先のスイスで暮らしているため、1年10か月以上2人と会えずにいます。毎日ビデオ通話で連絡を取り合っていますが、戦闘が続くなかウクライナに戻ることは望んでおらず、2年続けて別々にクリスマスや大みそかを過ごしました。

31日、セルギーさんは長女のブラダさんとビデオ通話で会話し「一緒に過ごせなくて悲しい。来年こそは会えますように」と語りかけていました。セルギーさんは「以前は大みそかは必ず家族で過ごしていましたが、軍事侵攻で日常は奪われました。新年やクリスマス、誕生日や家族の休暇自体がとてもつらいです」と声を詰まらせながら話していました。
そのうえで「娘や妻を抱き締められず、仮想の世界に生きているようです。新しい年に戦争が終わり、家族と一緒になれることを望んでいますが、難しいことだと思います」と話していました。

年末も激しい戦闘が続く

ロシア国防省は31日、ウクライナ軍が前日にロシア西部を攻撃した報復として、ウクライナ東部のハルキウ州を攻撃したことを明らかにしました。ロシア軍は先月29日にもウクライナに対して軍事侵攻の開始以降で最大規模とされる攻撃を行い、あわせて41人が死亡するなど年末にかけても激しい戦闘が続きました。

ウクライナは、去年6月に大規模な反転攻勢に乗り出しましたが、戦闘はこう着状態に陥り、東部ではロシア軍の激しい攻勢にさらされています。

また、プーチン大統領は先月、ロシア軍の兵士を17万人増やす大統領令に署名するなど、戦闘の長期化をにらんで兵力を強化する動きを見せています。

これについてアメリカのシンクタンク「戦争研究所」は、西側諸国はロシアが国の人員や予算を軍事部門に総動員してくるのを見通すことができなかったと指摘し、ロシアの大規模な攻撃は今後も続くという見方を示しています。

プーチン大統領「ロシアを分断し、発展を阻止できる勢力いない」

ロシアのプーチン大統領は31日、新年を前に恒例となっている国民向けのテレビ演説を行いました。

この中でプーチン大統領は、ウクライナで戦っているロシア軍の兵士たちを「英雄」と呼んでたたえました。そのうえで「われわれは退くことはない。なぜなら、ロシアを分断し、その発展を阻止できる勢力はいないからだ」と述べて、国民に団結を呼びかけ引き続きウクライナでの軍事侵攻を推し進める考えを示しました。

ことし3月に大統領選挙を控えるプーチン大統領としては、強いリーダーとしての姿を印象づけるねらいがあるとみられます。