外国人の技能実習制度見直し 別企業に移る転籍の条件も焦点に

外国人の技能実習制度の見直しで、政府の有識者会議は別の企業などに移る転籍も一定の条件のもとで認めることにしましたが、自民党内に慎重な意見もあることから、法改正に向けた制度設計では転籍の具体的な条件が焦点の1つとなりそうです。

政府の有識者会議は先月、人権侵害の指摘もある技能実習制度を廃止し、新たに「育成就労制度」を設けることを柱とした報告書をまとめました。

これまで原則できなかった、別の企業に移る転籍を、1年以上働いた上で一定の技能と日本語の能力があれば同じ分野に限り認めるとしています。

厳しい労働環境を長期間強いることが相次ぐ実習生の失踪の原因になっているなどの批判を踏まえ、外国人が働きやすい環境を整えるねらいがあります。

これに対し自民党の特別委員会は、転籍の条件として当分の間は少なくとも2年間働くことなどを盛り込んだ提言を小泉法務大臣に提出しました。

背景には制度の見直しで、地方から賃金が高い都市部への人材流出が加速し、地域経済の停滞や人手不足による企業倒産などを招きかねないという懸念があります。

政府は早ければ来年の通常国会に関連法案を提出したい考えで、制度設計では転籍の具体的な条件が焦点の1つとなりそうです。