今月29日にロシアによる軍事侵攻の開始以降最大規模の攻撃を受けたウクライナでは、がれきの撤去作業が夜を徹して続けられていて、31日、首都キーウで新たに2人の遺体が確認され、死者の数はあわせて41人になりました。
東部ハルキウ州では31日にかけても無人機やミサイルによる攻撃が相次ぎ、地元の知事によりますと2人の子どもを含む28人がけがをしたということです。
現場を撮影した映像では、住宅が大きく崩れて火災が発生し、避難した住民が立ちすくんでいる姿が確認できます。
ゼレンスキー大統領は30日、声明で「来年はより多くの兵器を生産する予定だ。ウクライナの兵士、国家が必要とする解決策について他国と協力している」と述べ、徹底抗戦の姿勢を改めて鮮明にしました。
一方、ウクライナと国境を接するロシア西部ベルゴロド州の知事は31日、前日にウクライナ軍から受けた攻撃で、これまでに24人が死亡したと発表しました。
ウクライナ当局は公式には攻撃への関与を明らかにしていませんが、ウクライナの有力メディアは当局者の話として「ベルゴロド市の軍事施設にミサイル攻撃を行った」と伝え、攻撃への関与を示唆しました。
【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(12月31日の動き)
ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる31日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)
ウクライナとロシア 双方で死者 年の瀬に応酬が激しさ増す
ロシア要請で国連安保理が緊急会合 ウクライナとお互いを非難
ロシア非常事態省は30日、ウクライナと国境を接するロシア西部ベルゴロド州の州都ベルゴロド市にウクライナ軍の攻撃があり、これまでに18人が死亡し、111人がけがをしたと発表しました。
これを受け、ロシアの要請で国連安全保障理事会では、30日、緊急会合が開かれ、はじめにロシアのネベンジャ国連大使は、民間施設を狙った「テロ攻撃だ」などと主張してウクライナを非難しました。
これに対して、ウクライナの代表は、前日の29日にロシアがウクライナ各地で行ったミサイルや無人機による攻撃で多数の死傷者が出たことを強く非難しました。ただ、ウクライナの代表はロシア西部への攻撃について言及しませんでした。
また、欧米各国は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が根本的な原因だとして、ロシア軍の即時撤退を求め、このうちフランスのドリビエール国連大使は「ウクライナは国連憲章に基づいて自国を防衛しているが、ロシアはそれを踏みにじっている。ロシアは侵略戦争をやめなければならない」と述べました。
一方、アフリカや南米の理事国の間からは、ロシアとウクライナ、双方に対し、民間人の犠牲を減らすため、緊張の緩和や、和平の実現に向けた対話や交渉を求める声もあがりました。
このうちモザンビークの代表は、ロシア西部への攻撃に強い懸念を示した上で「暴力が、双方の対立をエスカレートさせていることを示していて、 地域や国際社会の平和と安全への脅威だ」と指摘しました。
プーチン大統領 ハンガリー首相に新年祝うメッセージ
プーチン大統領は、ウクライナに対するEU=ヨーロッパ連合の資金支援に反対するなどロシア寄りの姿勢を示すハンガリーの首相にEU加盟国の中で唯一、新年を祝うメッセージを送り、ウクライナへの支援をけん制しようとしているとみられます。
ロシア大統領府は30日、プーチン大統領がクリスマスや新年を祝う恒例のメッセージを送った各国の首脳とその内容を公開しました。
送り先は主に、中国やインドといったBRICSの加盟国や、旧ソビエト諸国で、アメリカやイギリス、それに日本などには送られませんでした。
EU=ヨーロッパ連合の中では、唯一、ロシア寄りの姿勢を示すハンガリーのオルバン首相に送られ、プーチン大統領は、困難な国際情勢にもかかわらず、両国の前向きな関係を維持できたと強調したということです。
EUは、今月14日に開いた首脳会議で、ウクライナへの巨額の資金援助について協議しましたが、オルバン首相が反対したため合意できず、年明けに改めて協議するとしていて、ロシア側はウクライナへの支援をけん制しようとしているとみられます。
欧米の支援疲れが指摘されるなかウクライナ政府は、支援の強化を求めていて、ウクライナのイエルマク大統領府長官は、28日、SNSで近い将来、オルバン首相とゼレンスキー大統領との首脳会談を準備していると明らかにしました。
ロシア当局 “西部の都市にウクライナ軍の攻撃 18人死亡”
ロシア非常事態省は30日、ウクライナと国境を接するロシア西部ベルゴロド州の州都ベルゴロド市にウクライナ軍の攻撃があり、これまでに18人が死亡し111人がけがをしたと発表しました。
市の中心部が攻撃を受けたということで、現地からの映像では、複数の車が炎上したり、建物の窓が割れたりしている様子が映っています。
ウクライナ当局は関与を明らかにしていません。
ロシア国防省の報道官は、今回の攻撃を受けて声明を発表し「このような犯罪は罰せずにすませてはならない」と述べ、ウクライナにさらなる攻撃を加える姿勢を示しました。
ゼレンスキー大統領 ロシアの大規模攻撃で “39人死亡”
ウクライナでは、30日も前日の攻撃で行方が分からなくなっている人の捜索やがれきの撤去作業が続けられました。
死傷者の数はさらに増え、ゼレンスキー大統領は30日、SNSでこれまでに39人が死亡し、159人がけがをしたと述べました。
このうち首都キーウではこれまでに16人の死亡が確認され、市長は、多くの市民が亡くなったとして、新年を迎える来月1日を喪に服す日とすると発表しました。