“ガザ地区への攻撃は集団殺害犯罪” 南アフリカがICJに提訴

イスラエル軍がイスラム組織ハマスを壊滅させるためだとしてガザ地区への激しい攻撃を続ける中、イスラエルによる行為はパレスチナ人に対する集団殺害犯罪=ジェノサイドにあたるとして南アフリカがICJ=国際司法裁判所に提訴しました。

オランダ・ハーグにある国連の主要な司法機関、国際司法裁判所は南アフリカが29日にイスラエルを提訴したと発表しました。

訴えの中で南アフリカは、ことし10月のハマスによる襲撃に対する報復として行われているガザ地区でのイスラエルによる行為について、民族などとしてのパレスチナ人を破壊する意図をもって行われ、集団殺害犯罪にあたると主張しています。

そして集団殺害犯罪を防止し処罰する義務を定めたジェノサイド条約にイスラエルが違反したとしてその責任を裁判を通じて追及するとしています。

南アフリカはさらに、パレスチナの人々を守るため暫定的な措置として、イスラエルに対し、
▽ガザ地区での軍事作戦を直ちに停止し、
▽人々を死傷させたり強制的に移住させたりすることをやめて、
▽人道支援へのアクセスを認めることなどを命じるよう、裁判所に求めています。

イスラエル外務省 ICJに南アフリカの訴えを退けるよう求める

イスラエル外務省は声明を出し、「南アフリカの主張は事実としても法的にも根拠がない。イスラエルは国際法を順守している。ガザ地区の住民は敵ではなく民間人への危害を最小限におさえ、人道支援物資を搬入するための努力を続けている」としています。

そのうえで、ICJ=国際司法裁判所には南アフリカの訴えを退けるよう求めました。

イスラム組織ハマス 提訴について「高く評価する」

ICJ=国際司法裁判所に南アフリカがイスラエルを提訴したことについて、イスラム組織ハマスは30日、「高く評価する」とする歓迎のコメントをSNSに投稿しました。

このなかでハマスは、「南アフリカの行動は、イスラエルの指導者の責任を問う重要な一歩だ」などとしたほか、他国に対しても、同様の動きを呼びかけています。