鹿児島 悪石島沖合フェリー火災 鎮火確認 乗客乗員にけがなし

29日朝、鹿児島県の悪石島沖で、乗客乗員あわせて29人が乗ったフェリーの機関室で火災が発生し、乗客は船から脱出したあと、駆けつけた漁船で悪石島に到着しました。乗員を含め全員けがはなく、29日夜、鎮火が確認されました。

鹿児島県十島村や第10管区海上保安本部によりますと、29日午前6時40分ごろ、悪石島の南西およそ15キロの海上を航行していた、村が運航する「フェリーとしま2」の機関室で火災が発生しました。

乗客11人は、全員、救命いかだに避難したあと、駆けつけた漁船に乗り換え、およそ3時間後に悪石島に到着し、夕方に奄美市への移動を終えたということです。

乗員18人を含め、全員けがはないということです。

消火作業を行った結果、発生から12時間以上たった午後7時すぎに鎮火が確認されました。

「フェリーとしま2」は、鹿児島市と十島村の人が住んでいる7つの離島を通って、奄美市の名瀬港までを結ぶ定期船で、十島村によりますと、29日午前2時に名瀬港を鹿児島市に向けて出港し、悪石島の港に入港する前だったということです。

このフェリーは、12月22日にエンジンの表面に水滴がつく異常が確認されたため欠航しましたが、その後、異常がないことを確認したうえで、25日から運航を再開していました。

十島村は、今回の火災と関連があるかどうか調査することにしています。

救助にあたった人「みんな疲れ切っていた」

悪石島の住民で、知り合いの漁船に乗って現場に向かい、乗客の救助活動にあたった松下賢次さんは「乗客は救難ボートに乗る際に波をかぶったようで、ぬれていて、みんな疲れ切っていましたが、島に到着するとホッとした様子でした」と話していました。

先週もエンジントラブルで欠航

「フェリーとしま2」は鹿児島市と十島村の人が住んでいる7つの離島を通って奄美市の名瀬港までを結ぶ村営の定期船で、十島村によりますと、29日午前2時に名瀬港を鹿児島市に向けて出港し、悪石島の港に入港する前だったということです。

このフェリーは今月22日にエンジンの表面に水滴がつく異常が確認されたため欠航しましたが、その後、異常がないことを確認した上で、25日から運航を再開していました。

十島村は今回の火災と関連があるかどうか調査することにしています。

十島村役場のホームページによりますと、このフェリーは平成30年度に就航し、総トン数は1953トン、全長はおよそ93メートル、幅がおよそ16メートル、旅客定員は297人です。

村によりますと、火災が起きたフェリーは自力で航行できない状態で、えい航する作業を民間会社に依頼したということです。えい航する船は30日早朝に現場に到着する見込みで、その後、鹿児島市の鹿児島港にえい航する予定だということです。

島の村民たちにとって唯一の公共交通機関「1日も早い復旧を」

鹿児島県十島村では悪石島をはじめ、中之島や宝島など7つの島におよそ670人が住んでいます。

これらの島々と鹿児島市や奄美市を結ぶ「フェリーとしま2」は村民にとっては唯一の公共交通機関で、食料品などの生活物資も島々に届けています。

おととしには新型コロナウイルスのワクチンを運ぶため、フェリーに専用の冷凍庫が設置されたほか、子どもたちの接種を船内で行いました。

村によりますと、この年末年始は29日から来月3日までの間に、鹿児島港を出港する下り便に115人分の予約が入っていました。

今回の火災を受け、十島村は31日の大みそかの深夜に鹿児島港を出港する便については三島村の「フェリーみしま」を借りて運航することにしていますが、それ以降の運航については今のところ決まっていないということです。

十島村土木交通課の肥後勇喜課長は「『フェリーとしま2』は村民の方たちにとって重要な交通手段なので、1日も早い復旧を目指したい」と話しています。