【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(12月29日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる29日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

首都キーウ 市中心部のビルではガラスなど散乱

29日のロシアによるウクライナへの大規模な攻撃では、首都キーウの少なくとも3つの地域で建物が被害を受けました。

このうち、市の中心部にあるオフィスなどが入るビルでは、ガラス張りの壁面などが激しく壊れ、ガラスの破片や1メートルほどあるがれきが周囲に散乱していて、作業員が片づけにあたっていました。

また、このビルのそばの路上に止まっていた複数の車も、フロントガラスが割れるなどしていて、所有者の1人の46歳の女性は「運転中に防空警報が出て地下に避難したが、強い地響きを感じた。警報が解除されてから地上に出ると、車の窓ガラスが粉々に割れていた」と話していました。

また、駅に買い物に来ていたという37歳の男性は「警報が出たので駅の中に避難した。けがもなく無事でよかった」と話していました。

ゼレンスキー大統領「テロリストには必ず反撃する」

ウクライナ各地の都市に大規模なミサイル攻撃が行われたことについて、ゼレンスキー大統領は29日、SNSで「あわせておよそ110発のミサイルがウクライナに撃ち込まれた」と明らかにしました。

この中でゼレンスキー大統領は、攻撃には無人機や巡航ミサイルなど複数の種類の武器が使用されたとしたうえで、大半を撃墜したものの、産婦人科の病院や教育施設、ショッピングセンターなどが被害を受け、死傷者が出ているとしています。

また、ゼレンスキー大統領は、被害を受けた場所の動画や写真も投稿していて、建物から炎や煙が上がる様子や、崩れた建物に取り残されたとみられる市民の姿などが確認できます。ゼレンスキー大統領は「テロリストの攻撃には必ず反撃する。われわれは、国家や国民のために戦い続ける」と述べ、ロシア側を強く非難しました。

ロシア軍 各都市に大規模攻撃 ウクライナ「16人死亡」

ウクライナのゼレンスキー大統領は29日、首都キーウのほか、東部の都市ドニプロやハルキウ、西部のリビウや南部のオデーサなど各地の都市に対し、ロシア軍によるミサイルなどを使った大規模な攻撃が行われたと、SNSで明らかにしました。

そして、被害を受けたのは、産婦人科の病院や教育施設、ショッピングセンターなど民間の施設だったとして「テロリストの攻撃には必ず反撃する」と強調しました。

また、ウクライナの検察当局は、一連の攻撃でこれまでに16人が死亡し、97人がけがをしたと明らかにした上で、ミサイルなどの数は合わせておよそ150発に上ったとしています。

一方、ロシア軍は、大規模な攻撃を行って、すべての標的に損害を与えたと発表し、3日前の26日に、南部クリミアでロシア軍の大型揚陸艦「ノボチェルカスク」がウクライナによるミサイル攻撃で破壊されたことへの報復の可能性もあります。

“欧米当局者 ウクライナ領土奪還支援 見直し検討”米メディア

アメリカの政治専門サイト「ポリティコ」は27日、アメリカとヨーロッパの当局者の話として、ウクライナがロシアに占領されたすべての領土を奪還することを支援してきた、これまでの戦略について、見直す検討をしていると伝えました。

反転攻勢に参加しているウクライナの兵力をロシア軍による激しい攻撃が続く東部に配置し、防衛を強化することなどについて協議しているということで、当局者は将来の停戦交渉でウクライナを優位にすることを目指したものだとしています。

ポリティコは停戦交渉はロシアに領土の一部を割譲することを意味するとしていますが、「ロシアとの交渉は計画されていない」という当局者の話も伝えています。

ウクライナのゼレンスキー大統領はこれまで、南部クリミアを含むすべての領土を奪還するまで長期戦も辞さない姿勢を示しています。

欧米側も揺るぎない支援をくりかえし強調していますが、戦闘が長期化し、各国で「支援疲れ」も指摘される中で、アメリカでは軍事支援の継続に必要な緊急予算が承認されない事態にも陥っています。

プーチン大統領 インド外相と会談 欧米に対抗する構え鮮明に

ロシアのプーチン大統領は27日、モスクワを訪問したインドのジャイシャンカル外相と会談し、「両国の貿易は拡大している。第1に原油や石油製品などエネルギー関係だが、それだけにとどまらない」と述べ、欧米諸国がロシアへの制裁を強める中でもインドとの経済関係を強化する考えを示しました。

そのうえでプーチン大統領は「友人であるモディ首相とロシアで会うことをうれしく思う。両国関係の発展について話し合えるだろう」と述べたのに対し、ジャイシャンカル外相も「モディ首相は来年ロシアを訪問したいと心から思っている」と応じました。

プーチン大統領はインドなど新興国や途上国、いわゆるグローバル・サウスの国々との関係強化を目指していて、ウクライナへの軍事侵攻が長期化する中、欧米に対抗する構えを鮮明にしています。

また、ラブロフ外相はロシア外務省が28日に公開した国営タス通信のインタビューの中で「ウクライナ軍の反転攻勢は失敗したにもかかわらず、欧米側はウクライナに兵器を投入し続けている」と批判しました。

そして、ロシアがことし2月に一方的に履行を停止し、2026年に失効するアメリカとの核軍縮条約「新START」をめぐり、「アメリカが反ロシア政策を放棄しないかぎり対話は不可能だ。アメリカやその同盟国はロシアに戦略的な敗北を与えるという意図を隠そうとしていない」と述べ、現状では米ロの間で新たな核軍縮条約について交渉ができる環境にないとしてアメリカ側をけん制しました。