自民 大野泰正参院議員の関係先捜索 政治資金問題 東京地検

自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる事件で、東京地検特捜部は28日、政治資金規正法違反の疑いで安倍派からおよそ5000万円のキックバックを受けていたとみられる大野泰正 参議院議員の議員会館の事務所など、関係先を捜索しました。

議員側への強制捜査は2日連続となり、特捜部は詳しい経緯について実態解明を進めるものとみられます。

自民 大野泰正参院議員の関係先 約7時間半にわたり捜索

捜索を受けたのは東京・千代田区の参議院議員会館にある自民党の大野泰正参議院議員の事務所と議員宿舎で、議員会館の事務所には午前10時すぎに東京地検特捜部の係官数人が入り、およそ7時間半にわたって捜索しました。

自民党の安倍派「清和政策研究会」では、所属議員がパーティー券の販売ノルマを超えて集めた分の収入を議員側にキックバックし、その分を派閥の政治資金収支報告書にパーティーの収入として記載しない運用が組織的に行われた疑いがあり、特捜部は今月19日、政治資金規正法違反の疑いで安倍派の事務所を捜索したほか、27日は安倍派から4000万円を超えるキックバックを受けていたとみられる池田佳隆衆議院議員の事務所などを捜索しました。

関係者によりますと、安倍派では大半の所属議員側にパーティー収入の一部がキックバックされていましたが、大野議員側は去年までの5年間でおよそ5000万円のキックバックを受け、議員側の政治団体が収支報告書に収入として記載していない疑いがあるということです。

大野議員は今月11日、国会内で記者団の取材に応じ「政治不信を生み、心配をかけていることは大変申し訳なく思う。捜査が進んでいる段階で、しっかりと精査している状況であることを理解してもらいたい。しかるべき時期が来たら説明責任を果たしたい」と述べていました。

大野議員は参議院岐阜選挙区選出で当選2回。

自民党の副総裁や衆議院議長を務めた大野伴睦氏の孫で、2016年8月から翌年8月まで国土交通政務官を務めました。

関係者によりますと大野議員はすでに特捜部の任意の事情聴取を受けているということです。

議員側への強制捜査は2日連続となり、特捜部は捜索で押収した資料を分析するなどして、議員側の認識など詳しい経緯について実態解明を進めるものとみられます。

秘書「ご心配ご迷惑をかけ本当に申し訳ありません」

岐阜県羽島市にある大野泰正参議院議員の事務所で28日午後、高井雅之秘書が報道陣の取材に応じました。

この中で高井秘書は、東京の事務所など関係先が東京地検特捜部の捜索を受けたことについて「ご心配ご迷惑をかけ本当に申し訳ありません。ただ東京の方からも連絡が来ていないので、いまはこれだけしか言えません。議員からも連絡はありません。年末年始に帰ってくるかも聞いていません。すみません、これだけにしてください」などと話し、足早に事務所の中へと戻りました。

自民 岐阜県連会長「疑念晴らすため説明責任果たしてほしい」

東京地検特捜部が政治資金規正法違反の疑いで大野泰正参議院議員の関係先を捜索したことを受け、自民党岐阜県連の会長を務める武藤容治衆議院議員は「疑惑が広まっている事態を深刻に受け止めている。政治の要諦は国民の信頼の上にある。疑念を晴らすために説明責任を果たしてほしい」とするコメントを発表しました。

岸田首相「強い危機感 政治の信頼回復に努めなければならない」

岸田総理大臣は28日午前、総理大臣官邸で記者団に対し「捜査機関の具体的な活動について触れることは総理大臣としては控えるが、いずれにせよ強い危機感をもって政治の信頼回復に努めなければならないと感じている」と述べました。

林官房長官「国民から疑念持たれるような事態 極めて遺憾」

林官房長官は新潟市内で記者団に対し「捜査機関の活動内容に関わる事柄であり、政府として答えることは差し控えたい。それぞれの政策集団の活動、ひいては自民党の政治活動に政治資金の観点から厳しい目が向けられ、国民から疑念を持たれるような事態を招いていることは極めて遺憾だ」と述べました。

その上で「岸田総理大臣は、自民党総裁として、党役員と意見交換を行い、年明けのできるだけ早い時期に党の信頼回復のための組織を立ち上げるなど、きぜんとした対応をとっていくことを確認し、『具体的に取り組む事項についてさまざまな議論を積み重ねていきたい』と述べている。今後、この方針に沿って対応が行われると思う」と述べました。

政府関係者「年末年始 事件の話題一色になることを懸念」

政府関係者の1人はNHKの取材に対し「連日、議員事務所への捜索が入り、ショックがないと言えば嘘になる。どの範囲まで捜査が進むのか見通せず、年末年始が事件の話題で一色になることを懸念している」と述べました。

その上で「岸田総理大臣が述べているように、政治の信頼回復のために努力するしかない。年末年始も何ができるか考えないといけない」と述べました。

政府高官「捜査見守るしかない 深刻な出来事だと受け止め」

政府高官はNHKの取材に対し「今はとにかく捜査を見守るしかない。連日、議員事務所に捜索が入る事態は深刻な出来事だと受け止めている。だからこそ、実効性ある改革が必要だ」と述べました。

安倍派 幹部「重大に受け止め 捜査に最大限協力」

安倍派の幹部の1人はNHKの取材に対し「個別の議員側に対する捜査について現時点でコメントはできない。ただ派閥としては一連の案件について重大に受け止め、捜査には最大限協力し、真摯(しんし)に対応していくことに変わりはない」と述べました。

安倍派 閣僚経験者「重大に受け止め 捜査に最大限協力」

安倍派の閣僚経験者の1人はNHKの取材に対し「個別の議員側に対する捜査について、現時点でコメントはできないが、厳しい状況だ。ほかの議員側も強制捜査を受けないか懸念している。派閥としては一連の案件について重大に受け止め、捜査には最大限協力し、真摯(しんし)に対応していく立場だ」と述べました。

安倍派 閣僚経験者「強制捜査の議員 離党求める声出る可能性」

安倍派の閣僚経験者の1人はNHKの取材に対し「個別の捜査についてはコメントはできないが、関係先が強制捜査を受けた議員については、自民党を離党すべきという声が出てくるかもしれない。派閥としては一連の案件について、捜査には真摯に対応していくことに変わりはない」と述べました。

安倍派 閣僚経験者「国民に説明尽くさなければならない」

安倍派の閣僚経験者の1人はNHKの取材に対し「きのうに続いて議員側に強制捜査が行われ、重く受け止めている。今後も継続的な動きがあるとすれば、見守りたい。全容や責任を問われるべき人が明らかになり次第、それぞれの議員側からも国民に説明を尽くさなければならない」と述べました。

自民 渡海政務調査会長「地元で国民の厳しい声を受け止めて」

自民党の渡海政務調査会長は国会内で記者団に対し「2日続いて捜索が行われるということは重大なことだ。党所属の国会議員は年末年始に地元で国民の厳しい声をしっかりと受け止め、新しい組織での議論に反映させてほしい」と述べました。

自民党 幹部「国民からの信頼回復には時間かかるだろう」

自民党幹部の1人はNHKの取材に対し「安倍派議員への2日連続の捜索は打撃だ。大野氏は参議院内閣委員長を務めているので、今後の対応を考えなければならない。国民からの信頼回復には時間がかかるだろう」と述べました。

自民党 閣僚「自民党がしっかり改革できるか問われていく」

自民党の閣僚の1人はNHKの取材に対し「政治改革を『きちんとやれ』という国民の声が強まると思うので、自民党がしっかり改革できるかが問われていく」と述べました。

自民党 閣僚経験者「あと何人続くのか」

自民党の閣僚経験者の1人はNHKの取材に対し「2日続けての捜索はものすごく印象が悪い。こうしたことがあと何人続くのか分からず、『どうしたらいいのか』という思いだ。党で立ち上げる新たな組織では、信頼回復に向けた本気度が国民に伝わるよう抜本的な対策を打ち出す必要がある」と述べました。

立民 泉代表「より政局が混とんとし激しくなってきた」

立憲民主党の泉代表は党の仕事納めであいさつし「年末にかけて、より政局が混とんとして激しくなってきた。きのう、きょうと自民党所属の議員側に捜索が入るという異常事態で、年末年始も含めて、いろいろなことがありえる。年始もすぐにさまざまな動きがあることが予想される」と述べました。

立民 岡田幹事長「どのような結論になるのか注視」

立憲民主党の岡田幹事長は記者会見で「ほかにも疑惑のある人がいるので、順次、強制捜査が行われるのだろう。捜査の結果、どのような結論になっていくのか注視していきたい。立憲民主党は企業・団体からの献金やパーティー券の購入の規制を強める法案を国会に提出済みだ。年明けには党の政治改革推進本部を拡充し、政治改革の議論をしっかり詰めていきたい」と述べました。

公明 山口代表「事実の解明あってこそ改革の焦点見えてくる」

公明党の山口代表は記者団に対し「事実の解明があってこそ、何をどう改革していくかの焦点が見えてくるので、捜査の行方を注視しながら再発防止策を確立することに全力を尽くしていきたい。公明党として、改革の方向性を具体的に提案して議論をリードしていきたいし、自民党も自浄能力を示す真摯な取り組みが大切だ」と述べました。

共産 小池書記局長「大野氏は捜査当局に洗いざらい答えるべき」

共産党の小池書記局長は記者会見で「次から次へと自民党の議員の事務所に家宅捜索が入る、異常な事態が年末に起きている。大野氏は捜査当局に対して洗いざらい答えるべきで、国民にも説明すべきだ。岸田総理大臣は、政治に対する信頼を取り戻したいのであれば自民党の総裁として一連の事態についてきちんと国民に説明し、家宅捜索などを受けた議員に対して説明責任を果たすよう強く求めるべきだ」と述べました。