ジャック・ドロール 元EU委員長死去 98歳 ヨーロッパ統合推進

EU=ヨーロッパ連合の委員長を務め、単一市場の発足など、ヨーロッパの統合を推し進めたジャック・ドロール氏が亡くなりました。98歳でした。

ドロール氏は、1925年にパリで生まれ、フランスの中央銀行に勤めたのち、ミッテラン政権で経済財務相を務めました。

そして、1985年、EUの前身にあたるEC・ヨーロッパ共同体の執行機関、ヨーロッパ委員会の委員長に就任し、EU時代も含め10年間、委員長を務めました。

その間、域内におけるヒトやモノの自由な移動を認め、関税を撤廃する単一市場を発足させるなど、ヨーロッパの統合を推し進めました。

在任中の1992年に調印された「マーストリヒト条約」によって現在のEUが発足したほか、1999年の単一通貨ユーロの導入に道筋をつけたことから「ユーロの父」とも言われています。

フランスのAFP通信によりますと、ドロール氏は27日、パリの自宅で亡くなったということです。

98歳でした。

EUのフォンデアライエン委員長は「彼の人生の成果が、統合され繁栄したEUであり、私を含むヨーロッパの国民の全世代を形づくった」とSNSに投稿し、功績をたたえました。

岸田首相「現在の日本とEUの緊密な協力関係の礎を築いた」

岸田総理大臣はドロール元委員長の死去を受けてEU=ヨーロッパ連合のフォンデアライエン委員長に宛てて弔意を表すメッセージを送りました。

この中で岸田総理大臣は「政府と国民を代表して心から哀悼の意を表します。ドロール元委員長は10年間の在任中、卓越した指導力を発揮してヨーロッパの統合を推進し、現在の日本とEUの緊密な協力関係の礎を築きました。ドロール元委員長の功績に対し深甚なる敬意を表します」などとしています。