ウクライナ軍 東部拠点から撤退 南部で大型揚陸艦を破壊

ロシア軍がウクライナ東部で攻勢を強める中、ウクライナ軍の総司令官は東部ドネツク州の拠点のひとつマリインカから部隊を撤退させたと認めました。一方、ウクライナ軍は、ロシアが一方的に併合した南部クリミアでロシア軍の大型揚陸艦を破壊したとして戦果を強調しています。

複数のウクライナメディアによりますと、ウクライナ軍のザルジニー総司令官は26日、記者会見で、東部ドネツク州のウクライナ側の拠点のひとつマリインカの戦況について、部隊を北部の郊外に移したとして撤退したと認めました。

州都ドネツクに近い別の拠点アウディーイウカについても今のままでは2、3か月以内に占領されるおそれがあるという認識を示したということです。

マリインカについてロシアのショイグ国防相は25日、ロシア軍が掌握したとプーチン大統領に報告し、プーチン大統領は「軍の作戦範囲がさらに拡大する機会が得られる」と述べていました。

一方、ウクライナ空軍は26日、ロシアが一方的に併合した南部クリミアでロシア軍の黒海艦隊の大型揚陸艦をミサイルで攻撃し破壊したと発表しました。

ウクライナ空軍の報道官は去年4月の黒海艦隊の旗艦「モスクワ」の破壊に続くもので修復不可能だろうとした上で「港のインフラや近くにあった補給船も破壊された可能性がある」と戦果を強調しました。

これについてロシア大統領府のペスコフ報道官は「国防相がウクライナ軍による攻撃と揚陸艦の損傷についてプーチン大統領に報告した」と明らかにし、ロシア側もこれを認めたかたちです。

今回の攻撃を受けてイギリスのシャップス国防相は26日、SNSで、過去4か月でロシアの黒海艦隊の20%が破壊されたと指摘し「ウクライナでの戦争がこう着状態にあると信じている人々が間違っていることを示している」と投稿しました。