子育て世帯支援の食料品セットに最多申し込み 物価高苦しむ声

経済的に苦しい子育て世帯を支援している国際NGOが、冬休み向けの食料品セットを用意したところ、過去最多の申し込みがあり、物価高に苦しむ声が寄せられているといいます。

国際NGOの「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」では、経済的に苦しい子育て世帯の支援を行っていて、この冬に向けて「冬休み 子どもの食 応援ボックス」を5000世帯分用意したところ、6743世帯から申し込みがありました。

支援の対象を全国に広げた去年の夏以降、最も多くなっているということです。

申し込み世帯に行ったアンケートでは、去年の同じ時期と比べ、物価上昇で子どもの生活にマイナスの影響があったか聞いたところ、
▽「大いにあった」は56%、
▽「ややあった」は41%でした。

申し込んだ理由を複数回答で聞いたところ、
▽「物価上昇による値上がりで十分な食料を買うお金がない」が86%と最も高く、
中には経済的な理由で、
▽「親の食事量を減らしている」という回答も55%、
▽「子どもの食事量を減らしている」は25%となりました。

また、正月のお年玉やクリスマスプレゼントについて「経済的にできない」と回答した世帯は54%と半数を超えました。

「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」国内事業部の川上園子部長は、「お正月など特別な時に子どもに何かしたくてもできない家庭がこれだけあるのは、ショッキングな数字だと思う。申し込みの多くは母子世帯で、パートやアルバイトの方が半数以上と、賃上げなどの動きが響くのが一般企業の方々に比べ先だと感じる。多くの人にフードバンクや子ども食堂など近隣にある食の支援を支えてもらいたいし、国には経済的支援や生活支援を働きかけていきたい」と話していました。

都内のフードバンク 利用者倍増の一方 寄付は半減

年末年始を前に、餅やインスタント食品などを配っている東京都内のフードバンクでは、物価高の影響などで利用者が倍増する一方、企業などからの物資の寄付は半減しているといいます。

東京 立川市にあるフードバンクでは、困窮している世帯を対象に、年末年始を安心して過ごしてもらおうと、インスタント食品や日用品のほか正月用の餅などの支援物資を配っています。

このフードバンクが地元の社会福祉協議会を通じて支援した世帯数は、ことしの春には月に90世帯ほどでしたが、物価の高騰などを理由に12月はすでにおよそ200世帯と2倍以上に増えていて、設立した2015年以降で最も多くなっています。

一方で、企業や個人からの食料品や日用品の寄付は物価高の影響で減少していて、ことし寄付された物資の量は去年から半減しているということです。

このため、支援の希望があっても対象を絞らざるをえない状況になっているとしています。

「フードバンク立川」の市村義久代表は、「長引いた新型コロナや物価高の影響は大きく、支援物資の量と支援を求める人のバランスがとれない状態となっている。利用者の中には『今夜食べるものがない』という人もいて、切実な状況にある。安心して年末年始を過ごせるよう、年内もできるかぎり支援を続けたい」と話しています。