辺野古沖の地盤改良工事 国交相“28日に代執行” 沖縄県に通知

沖縄のアメリカ軍普天間基地の移設先になっている名護市辺野古沖の地盤の改良工事をめぐり、沖縄県は25日、裁判所が命じた工事の承認を行わないことを決めました。これを受けて斉藤国土交通大臣は、県に代わって工事を承認する代執行を28日に行うことを決め、26日、県に通知を送ったことを明らかにしました。

普天間基地の移設先となっている名護市辺野古沖の地盤の改良工事をめぐり、福岡高等裁判所那覇支部は今月20日、「工事の申請を承認せずに放置することは社会公共の利益を侵害する」などとして沖縄県に対し25日までに工事を承認するよう命じました。

玉城知事は25日、「判決にはさまざまな問題があり、辺野古新基地建設に反対する多くの県民からの負託を受けていることから承認することは困難だ」として承認せず、「工事を中止し問題解決に向けた沖縄県との真摯(しんし)な対話に応じていただきたい」とコメントしました。

地方自治法では県が判決の期限までに承認しない場合、国が代わりに承認する代執行ができるとしていて、斉藤国土交通大臣は28日、工事を承認する「代執行」を行うことを決め、県に通知を送ったと26日、閣議後の会見で明らかにしました。

地方自治法に基づく代執行は初めてで、異例の事態です。

玉城知事が工事の中止や対話を求めていることについて、斉藤国土交通大臣は「公有水面埋立法の所管大臣として法律にもとづき手続きを進めてきた。普天間飛行場の代替施設建設事業は防衛省の所管事業なので、国土交通大臣としては差し控えさせていただく」と話しました。

林官房長官「基地負担の軽減図るため全力で取り組む」

林官房長官は、閣議のあとの記者会見で「国土交通大臣の指示の適法性が確定しているにもかかわらず、司法判断に従った対応がなされないことは遺憾だ。今後の対応は国土交通大臣が判断する。今後もさまざまな機会を通じて地元への丁寧な説明を行いながら、普天間飛行場の1日も早い全面返還を実現し、基地負担の軽減を図るため全力で取り組んでいく」と述べました。

木原防衛相「大浦湾側の工事に向けた準備進める」

木原防衛大臣は閣議の後の記者会見で「所管する国土交通大臣の判断にかかる事柄であり、防衛省として現時点で直接的に答える立場にはない。防衛省としては、地元に丁寧に説明を行いながら、普天間基地の1日も早い全面返還を実現するため、大浦湾側の工事に向けた準備を進めていかなければならない」と述べました。

共産 小池書記局長「厳しく抗議したい」

共産党の小池書記局長は、記者会見で「国土交通省が代執行を行うことを沖縄県に通知したことに、厳しく抗議したい。国の考えに従わなければ県の権限を奪い、代執行するというのは民主主義や地方自治を乱暴に破壊することになる。地方自治の破壊は断じて許されない」と述べました。