松野氏 高木氏 世耕氏 塩谷氏を任意で聴取 政治資金 東京地検

自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる事件で、東京地検特捜部が安倍派幹部の松野博一前官房長官、高木毅前国会対策委員長、世耕弘成前参議院幹事長、塩谷立元文部科学大臣から任意で事情を聴いたことが関係者への取材でわかりました。安倍派ではパーティー収入の一部を裏金化する運用が組織的に行われていた疑いがあり、特捜部は、派閥の幹部としての認識などについて確認したものとみられます。

最大派閥の安倍派「清和政策研究会」や二階派「志帥会」では、所属議員がパーティー券の販売ノルマを超えて集めた分の収入を議員側にキックバックし、その分を派閥の政治資金収支報告書にパーティーの収入として記載していなかった疑いがあり、東京地検特捜部は政治資金規正法違反の疑いで安倍派と二階派の事務所を捜索し、捜査を進めています。

このうち安倍派では、派閥の幹部6人を含む大半の所属議員側に、パーティー収入の一部がキックバックされていて、特捜部は、議員への任意の事情聴取を進めていますが、24日までに新たに松野博一前官房長官、高木毅前国会対策委員長、世耕弘成前参議院幹事長、塩谷立元文部科学大臣から任意で事情を聴いたことが関係者への取材でわかりました。

安倍派では塩谷元文部科学大臣が座長を務め、派閥の運営を取りしきる事務総長は、松野前官房長官が2019年9月からおととし10月まで、高木前国会対策委員長が去年8月から務めています。

安倍派では、パーティー収入の一部を裏金化する運用が組織的に行われていた疑いがあり、特捜部は派閥の幹部としての認識や、キックバックを受けた議員側としての認識について、確認したものとみられます。

森屋官房副長官「厳しい目が向けられており 極めて遺憾」

森屋官房副長官は記者会見で「捜査機関の活動内容に関する事柄であり政府として答えることは控える」と述べました。

そのうえで「現在、政策集団の活動や自民党の政策、政治活動に政治資金の観点から厳しい目が向けられており、極めて遺憾だ。岸田総理大臣は再発防止策などを検討していくと述べており、きょう自民党の役員と会談の場を持つので何らかの発信をすると思う」と述べました。

そして「政府としても、政治に対する不信や物価高、少子化対策など国民の声を真摯(しんし)に受け止めながら国政に遅滞が生じないよう内政外交の諸課題に全力で取り組み、一つ一つ結果を出していきたい」と述べました。

菅前首相「大きな不信 非常に残念 党全体で取り組み」

自民党の菅前総理大臣は、神戸市で記者団に対し「自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題によって大きな不信を生んでおり、非常に残念だ。党全体でこの問題に一致結束して取り組まなければならない。当然、政治改革や党改革を考えなければならない」と述べました。

立民 長妻政調会長「前代未聞 首相は謝罪と説明を」

立憲民主党の長妻政務調査会長は記者団に対し「政権中枢にいた議員が、これほど多く聴取されたのは前代未聞ではないか。特に官房長官は総理大臣の側近中の側近だ。岸田総理大臣は、まず国民に謝罪すると同時に実態解明に向けて説明すべきだ。派閥をこえて自民党の問題であり、自民党政治を終わらせないと日本の政治は展望がひらけない」と述べました。

国民 玉木代表「首相は全容解明にリーダーシップを」

国民民主党の玉木代表は、コメントを発表し「内閣や与党で要職を務めた政治家が、任意であっても捜査機関の聴取を受けることは異常かつ深刻な事態だ。捜査機関に委ねることなく、岸田総理大臣は全容解明にリーダーシップを発揮すべきだ」としています。

そのうえで「裏金の使途も含めて徹底的に明らかにしなければ、国民の信頼は決して回復しない。衆議院政治倫理審査会を開き、疑念を持たれた議員から説明を聴取すべきだ」としています。