ウクライナ正教会は、これまで旧暦に従ってロシアと同じ1月7日をクリスマスとしてきましたが、ロシアへの反発から、12月25日をクリスマスとする暦にことし正式に変更し、24日、各地でクリスマス・イブの礼拝が行われました。
ウクライナでクリスマス・イブの礼拝 ロシアに反発 暦を変更
ウクライナに多くの信者がいるウクライナ正教では、軍事侵攻を続けるロシアへの反発から、これまで1月に祝っていたクリスマスが、ことし正式に12月25日に変更され、24日、クリスマス・イブの礼拝が行われました。
ウクライナ正教会 12月25日をクリスマスとする暦に変更
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このうち、首都キーウ中心部にあるユネスコの世界遺産のキーウ・ペチェルシク大修道院では午後5時から礼拝が始まり、人々が次々に訪れ、祈りを捧げていました。
この修道院は、軍事侵攻の前までロシアの強い影響下にあると指摘されてきましたが、ことしのクリスマス・イブの礼拝ではウクライナ語が使用されていました。
ウクライナではロシアによる侵攻が長期化する中、宗教や文化の面でもいっそうロシア離れが進んでいます。
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修道院を訪れた44歳の女性は「クリスマスの日程を変えるのは、とても重要なことだと思います。ロシアや彼らの祝日から離れることができます」と話していました。
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女性の夫で、ふだんは兵士として前線で戦っている50歳の男性は「願いは早く勝利することです。すぐにでも勝つことができれば、機関銃を置いて、歩いてでも家に帰りたいです」と話していました。
国内だけで360万人以上が避難先での暮らし余儀なくされる
戦闘が長引く中で、国内だけで今も360万人以上がふるさとを離れ、避難先での暮らしを余儀なくされているとみられます。
ウクライナでは例年、多くの人がクリスマスをロシアと同じ1月7日に祝ってきましたが、ことしからウクライナ政府は、クリスマスの祝日を正式に12月25日に変更し、首都キーウなどでは24日、クリスマス・イブの礼拝が行われました。
一方で、ウクライナ軍はことし6月から大規模な反転攻勢に乗り出したものの、こう着状態に陥っているとも指摘されていて、領土奪還は思うように進んでいません。
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IOM=国際移住機関などによりますと、長引く戦闘から逃れたり、ロシアに占領された土地を離れたりして国内で避難している人は今も367万人に上り、多くの人がふるさとに戻れないまま避難先でクリスマスを過ごすことを余儀なくされているとみられます。
こうした中、去年5月にロシアが完全に掌握した東部マリウポリから避難した人たちを支援している団体は、クリスマスを前に、子どもたちを元気づけようと22日、キーウ市内でイベントを行いました。
子どもたちは、地元の団体が日本からの寄付で用意したお菓子などのプレゼントを受け取ったあと、ツリーにつけるクリスマスの飾りをつくって楽しんでいました。
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息子や夫と家族4人でキーウで避難生活を続ける41歳の女性は「以前は、友達や家族を家に招きクリスマスを祝っていたのに今は誰もおらず複雑な気持ちです。早く平和になって、みんな家に帰れるようになってほしいです」と話していました。
つらい気持ち抱えながらクリスマス迎える人たち
ロシアに占領された土地を離れた人たちの中には、ふるさとに帰る見通しが立たず、つらい気持ちを抱えながらクリスマスを迎える人も少なくありません。
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このうち首都キーウに住むイリーナ・ストリレツさん(26)は、去年5月にロシアに占領されたマリウポリの出身です。
イリーナさん自身は大学進学を機にキーウで暮らしていましたが、両親はロシアによる侵攻でマリウポリの自宅から離れ、キーウでの避難を続けています。
イリーナさんと両親は、今も自宅に帰る見通しが立っていません。
夫は激しい戦闘が続く前線へ クリスマスにも会えず
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さらに、イリーナさんはことし9月、恋人だったウラジスラフさんと結婚しましたが、侵攻直後に軍に入隊したウラジスラフさんは、現在、ロシアとの激しい戦闘が続く東部の前線にいて、クリスマスも会うことはできません。
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SNSで連絡を取り合っていますが、戦闘が激しいときなどはメッセージを送っても1週間にわたり返事がないときもあり、不安な日々を過ごしています。
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イリーナさんと両親は、今月16日、クリスマスを前にイリーナさんの住むアパートに集まり、クリスマスツリーに飾りつけを行い、ふるさとで毎年食べていた蜂蜜とクリームで作る伝統のクリスマスケーキを食べて過ごしました。
クリスマス当日も家族3人で過ごして、支え合って前に進んでいこうとしています。
「来年は夫と一緒にクリスマスを祝えるよう願っている」
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イリーナさんは「生まれ育った場所でクリスマスのお祝いはもう見られないかも知れません。家族で祝うべきクリスマスに夫がおらず、さらに、彼がいつも危険な場所にいるのもつらいです」と苦しい心情を吐露していました。
そのうえで「この2年はとても長く、正直に言えば、疲れを感じます。来年は戦争に勝利し、夫と一緒にクリスマスを祝えるようになることを願っています」と話していました。