“ロシア国内で労働力不足 深刻化” 国内経済へ打撃との指摘も

ロシアの有力紙は、ロシア国内で労働力不足が労働力人口全体の6%余りに上り、来年も深刻な不足が続くと伝えました。ウクライナへの軍事侵攻が1年10か月と長期化する中、国内経済への打撃になるという指摘も出ています。

ロシアの有力紙「イズベスチヤ」は24日付けの電子版で、ロシアの研究機関の調査結果を引用しながら、ことしの労働力不足は480万人に上る見通しだと報じました。

ロシアの労働力人口全体の6%余りに相当し、ロシア中央銀行のナビウリナ総裁が先月(11月)「製造業や化学工業などで深刻な人材不足を引き起こしている」と懸念を表明していたのが数字で裏付けられた形です。

ウクライナへの軍事侵攻に伴って兵士として多くの人々が動員されているほか、国外へ逃れた人が多いことも背景にあるとみられ、記事では来年もIT分野や工学系の専門職、医師や運転手など幅広い職種で深刻な労働力不足が続き「制裁下の経済の立て直しを困難にする」という専門家の指摘を伝えています。

ロシアのプーチン大統領は今月行った年末の記者会見などで、欧米などによる制裁を受けても経済は安定し、失業率は2.9%と歴史的に低くなったと誇った上で来月(1月)から最低賃金を18%引き上げるなどと強調しました。

ロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始して24日で1年10か月と長期化する中、来年3月の大統領選挙で圧勝をねらうプーチン大統領は、国民の不安の払拭を図っているとみられます。