フィギュア全日本選手権 女子シングル 坂本花織が大差で3連覇

フィギュアスケートの全日本選手権は24日、女子シングル後半のフリーが行われ、前半トップの坂本花織選手が後半も他を圧倒する演技で2位に大差をつけ、大会3連覇を果たしました。

長野市で行われたフィギュアスケートの全日本選手権は24日、大会を締めくくる最後の競技として女子シングル後半のフリーが行われました。

坂本選手は冒頭から代名詞のダブルアクセルを決め、高さと幅のあるジャンプで高い出来栄え点を獲得すると、その後も危なげなく演技を進めました。

基礎点が上がる後半のジャンプも得点源の3回転フリップとトーループの連続ジャンプ、続く3連続ジャンプ、そして最後の3回転ループとすべて決めて、出来栄え点も加点されました。

さらに『演技構成点』でも他を圧倒する演技を見せた坂本選手は、フリーで154.34、合計を233.12とし2位以下に20点以上の大差をつけて3大会連続4回目の優勝を果たしました。

2位は18歳の千葉百音選手で、すべてのジャンプを着氷するなど大きなミスなくまとめ合計を209.27とし、5回目の出場で過去最高の順位でした。

3位は15歳の島田麻央選手で、冒頭でトリプルアクセルを決めるなど前半の7位から順位を上げ、初出場だった去年に続く表彰台です。

また、今大会最年少、13歳の上薗恋奈選手も合計で200点台の得点をマークして初出場で4位に入り、若手の活躍が光りました。

坂本「緊張が本当に大きくなりすぎて」

大会3連覇を果たした坂本花織選手は「今シーズンの目標に全日本選手権の3連覇と世界選手権の3連覇を掲げていたので、まずそのうちの1つを達成できてほっとしている」と話しました。

前半のショートプログラムから点差をつけてトップに立ったもののフリーに向けては重圧に苦しんだといい、「目標を達成したい気持ちと自分の立場を考えてちゃんとやらないとという緊張が本当に大きくなりすぎて、きょうの公式練習の時はすぐに息が上がるくらい緊張していた。それでもなんとかやり遂げたいという強い気持ちをもって本番までに気持ちを切り替えて戦うことができてよかった」と話していました。

千葉「自信をもって滑れた」

初めての表彰台となった千葉百音選手は「練習どおりの演技ができて今はほっとしている。去年と同じ最終グループで、ことしも緊張が減ることはなかったが、ここまで積んできた練習が去年よりもいいものだったので、その分、自信を持って滑ることができた」と話しました。

その上で今後に向けて「今回は大会前まですごく調子が良くてそのまま力を出せたが、毎回そういう状態とは限らないので、緊張したときでもきょうの結果の記憶を生かせればと思う」と話していました。

島田「今は悔しいという思いが一番強い」

3位に入り、去年に続いて表彰台に立った15歳の島田麻央選手は「今は悔しいという思いが一番強い。トリプルアクセルや4回転トーループのような大技は挑戦なのでミスが出ることも想定しているが、ほかのジャンプにミスが出てしまったことが一番悔しい」と笑顔はありませんでした。

その上で、出場が決まっている来年1月からのユースオリンピックに向けては「ここ2大会続けて同じミスをしてしまったので、次は絶対にミスしないように考えて練習をして、今度こそミスのない演技ができるように頑張りたい」と話していました。

体調不良も『世界女王』の意地とプライド

『世界女王』としての自覚。

坂本花織選手はコンディションが万全ではないなかでも大会3連覇というかたちで、日本のトップであることを証明して見せました。

世界選手権2連覇中で、今月(12月)中国で行われたグランプリシリーズのファイナルで初優勝を果たし、『世界女王』の称号をまたひとつ加えた坂本選手。

しかし、グランプリファイナルから帰国したあと、腹痛で一日中寝込むほど体調を崩し、リンクに立てない日もあったといいます。

3連覇がかかる世界選手権の選考を兼ねた今大会。

ようやく体調が回復したのは大会直前の今月19日ごろ。

その翌日の公式練習には姿を見せ、練習後の取材では「この場に立ったらどんな条件であれ、やらないといけない」と日本のトップ選手として世界の頂点に登り詰めた自覚を口にしました。

そのことばどおり、前半のショートプログラムでは国際スケート連盟の非公認大会のため参考記録ではあるものの、今シーズンの自己ベストを更新する演技でトップに立ちました。

そして、25日のフリーでもすべてのジャンプを着氷するなどほかの選手の追随を許さない圧倒的な演技を見せて大会3連覇、4回目の優勝を果たしました。

今大会は、2位に入った18歳の千葉百音選手やグランプリファイナルのジュニアの部門で日本選手として初めて連覇を果たし、3位に入った15歳の島田麻央選手、それに、出場選手最年少の13歳で4位に入った上薗恋奈選手など若い選手の活躍が目立ちました。

そのなかでも『世界女王』として、日本のトップとして、意地とプライドを見せた坂本選手は演技後、「体調不良を言い訳にしている場合じゃないと思った。自分がジュニアの時もシニアの選手にこういう舞台で勝ちたいと思って戦っていたので、今の自分の立場ならまだ負けてはいけないと頑張ろうという気持ちがあった」と話しました。

その上で、今大会の優勝で代表に決まった来年の世界選手権に向けては「3連覇のためには内容的にもう少しスピードなどしっかり高めないといけない部分があるので、修正して完璧な演技が世界選手権でできるように頑張りたい」と意気込みました。

世界選手権で3連覇を果たせば女子としては56年ぶりです。

若手の高い目標であり続けるために。

23歳の坂本選手は歩みを止めません。