奈良 下北山村 土砂崩れ 別の車も巻き込まれたか あす以降捜索

23日夜、奈良県下北山村の国道で斜面の土砂が崩れて車1台が巻き込まれ、1人がけがをしました。もう1台、別の車が巻き込まれた可能性があるということで、警察と消防は現場の安全を確認したうえで、25日以降、捜索活動を再開することにしています。

23日午後9時前、奈良県下北山村上池原の国道169号線で国道沿いの斜面の土砂が幅20メートルから30メートルにわたって崩れ、軽乗用車1台が巻き込まれました。

乗っていた50代の男性はおよそ7時間半後に救助され、病院に搬送されて手当てを受けましたが命に別状はないということです。

警察によりますと、救助された男性は「当時、前を走っていた車があった」と話していて、その後、和歌山県に住む70代の男性が、出かけたまま連絡がとれなくなっているという通報が家族から寄せられたということです。

現場では、白い煙が出ている場所もあることから、警察と消防はほかの車が巻き込まれている可能性があるとみて確認を進めていますが、現場での捜索活動は、二次災害のおそれがあるとして中断されています。

現在、県が現場の安全を確保するための作業を進めていて、警察と消防は県の作業の状況をみながら、25日以降、捜索活動を再開することにしています。

県によりますと、現場はことし5月に降った雨で斜面が崩れたため復旧工事が予定されていて、国道は防護柵が設置された上で片側交互通行になっていたということです。

専門家「『凍結融解』で土砂崩れか」

国土交通省の依頼を受けて現場を視察した、土木工学が専門の京都大学の大西有三 名誉教授は、斜面の水分が凍ったり溶けたりを繰り返す「凍結融解」によって土砂崩れが起きたのではないかと指摘しています。

大西名誉教授は「このところ気温の変化が激しかったため、斜面の水分が凍ったり溶けたりを繰り返す『凍結融解』が起きていた可能性が高い。詳しい調査を待つ必要があるが、『凍結融解』によって地盤が弱くなり、斜面が土砂ごと流出したのではないか」と述べました。

そのうえで、今の現場の状況について「崩れた土砂によって斜面が支えられているが、これをすぐに撤去してしまうとさらに土砂崩れが起きかねない。まずは山の斜面の上の部分に残る土砂を取り除くなどの安全対策をする必要がある」と話していました。