医療観察制度 情報提供の運用 来月から一部見直しへ 法務省

殺人事件などを起こし、精神障害を理由に不起訴や無罪になった加害者が入院などを経て社会復帰を目指す医療観察制度について、法務省は来月から、加害者の状況などを被害者側に伝える情報提供の運用を一部見直すことになりました。被害者側が求めていた支援の充実が一歩前進した形です。

殺人や放火などの重大事件で精神障害による心神喪失などを理由に、不起訴や無罪が確定した加害者は、医療観察制度の手続きに移行し、入院や通院での治療などを経て社会復帰を目指すことになります。

これまで加害者の処遇に関する情報は、被害者側から申し出があれば「入院中」や「退院した」など、その時点の状況のみを伝える運用がされていましたが、被害者側からは「何度も申し出が必要で、得られる情報も限られている」と、改善を求める声が上がっていました。

このため法務省は全国の保護観察所などに通達を出し、来月から運用を一部見直すことにしました。

具体的には、被害者から一度申し出があれば、定期的に情報を提供し、退院や、制度に基づく治療が終わる時など、処遇に変化があった際にも情報を提供するとしています。

利便性などを考慮したということで、被害者側が求めていた支援の充実が一歩前進した形です。

一方、法務省は「加害者の情報をより詳しく提供してほしいという要望も受けているが、本人の同意なく提供する現状の枠組みでは難しい」としています。