広がる「ブックサンタ」プレゼントを用意できない家庭に本贈る

経済的な理由などでクリスマスプレゼントを用意できない家庭に本を贈る「ブックサンタ」という取り組みが広がっています。この活動を行っている団体が、都内で24日のクリスマスイブに向けてラッピングなどの準備を行いました。

「ブックサンタ」の活動を行っているのはNPO法人の「チャリティーサンタ」で、全国の書店などと連携して6年前から実施しています。

「ブックサンタ」は取り組みに賛同した人が書店やオンラインの特設サイトで購入するなどして寄付された本が、経済的な理由などでクリスマスを祝えない家庭の子どもたちにサンタクロースからプレゼントされるものです。

23日は、プレゼントされる24日のクリスマスイブを前に、都内の事務所でボランティアが集まり、全国から届いた本のラッピング作業などを行いました。

NPO法人の清輔夏輝代表理事は「ことしは物価高が続いている影響でプレゼントを買う余裕がないと訴える家庭が増えています。本を届けることで、親子が一緒に本を楽しむ時間もプレゼントしたいです」と話しています。

寄付された本は、12月24日にサンタクロースからプレゼントされます。

「ブックサンタ」去年は約7万5000冊寄付

「あなたも誰かのサンタクロース」が合言葉の「ブックサンタ」。

経済的な事情などで子どもにクリスマスプレゼントを渡すことができない家庭に本を贈る取り組みです。

この取り組みは、東京のNPO法人「チャリティーサンタ」が6年前から実施しています。

取り組みに賛同した人が、書店やオンラインの特設サイトで贈りたい本を選んで購入して寄付するもので、このほかにもクラウドファンディングで寄付する形式もあります。

NPO法人では、応募のあった家庭の状況や子どもの年齢などに応じて本を振り分け、サンタクロースがクリスマスイブの12月24日に子どもたちに届けています。

活動が始まった年に寄せられたのは848冊でしたが、去年はおよそ7万5000冊に増え、ことし協力している書店は去年の2倍以上の1683店舗にまで広がっています。

NPOが応募があった家庭に行った調査では、物価の高騰が続いていることなどから食料や生活必需品が足りないと答えたのが8割に上るなど、クリスマスを祝う余裕がない家庭が多くいることがうかがえるということです。

ことしは23日までに、個人などおよそ8万件とこれまでで最も多い応募が寄せられているということです。

本を寄付する女性「一生の支えになってほしい」

「ブックサンタ」に参加している東京の会社員、40代の千葉潤子さんです。

千葉さんは「クリスマスプレゼントをもらえない子どもがいることに驚きを感じた」として4年前から毎年、寄付しています。

贈っているのは児童書に加えて、法律をイラスト付きでわかりやすく解説している「こども六法」という本を毎年、選んでいます。

千葉さんは「一生の支えになってほしいと思って選んでいます。本は悩んでいるときに友達になってくれたり、時には人生の道しるべや支えになってくれたりするのでとてもいいプレゼントだと感じています。子どもたちが大きくなった時に自分を支えてくれる人はそばにいる人だけじゃない、1人じゃないということが伝わるといいなと思います」と話していました。

心待ちにする小学生「どんな本が届くのか楽しみ」

千葉県で2人で暮らす30代の母親と小学生の娘は「ブックサンタ」を心待ちにしています。

女性はパート社員として働きながら子どもを育てていますが、持病のため定期的に通院しなければなりません。

毎月の手取りはおよそ10万円で、物価や光熱費の高騰などもあって生活は苦しく、寄付の米や野菜で食事を賄うこともあるいうことです。

このため、クリスマスや子どもの誕生日を祝う経済的余裕はなく、女性は、「プレゼントを渡したくても出費を増やすことができず、習い事も我慢させていて、子どもには寂しい思いをさせています。クリスマス一色になる中で、取り残された感じになってしまうのはかわいそうでどうにかして祝ってあげたい」と話します。

そんな中、去年「ブックサンタ」の存在を知って応募したところ、サンタクロースから娘に心温まる絵本がプレゼントされました。

本を受け取った小学生の娘は「本が好きなのでとってもうれしかったです。ことしはどんな本が届くのか楽しみです」と期待していました。

母親の女性は「喜んで毎日のように読んでいました。社会とつながりを持って生きている、取り残されていないと感じることができました」と話していました。