イスラエル軍 ガザ地区南部への攻勢強める

イスラム組織ハマスの壊滅を掲げるイスラエル軍はガザ地区南部への攻勢を強めています。ガラント国防相はハマスのシンワル指導者について「もうすぐわれわれに銃を向けられることになるだろう」と述べ、戦闘が長期化する中、部隊がハマス指導部に迫っていると強調するねらいもあるとみられます。

イスラエル軍はガザ地区北部を制圧しつつあるとしていて、南部にハマスのガザ地区の指導部が潜伏しているとみてハンユニスを中心に軍事作戦を強化しています。

UNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関ガザ事務所のトーマス・ホワイト所長は23日、旧ツイッターのXで、イスラエル当局が軍事作戦を拡大するため住民に対してガザ市の南にあるデルバラハ地区に退避するよう通告していると投稿しました。

ホワイト所長は、デルバラハ地区にはすでに避難してきた人たちが大勢いて、15万人以上が影響を受けると指摘したうえで「ガザの人々は人間だ。チェスの駒ではない」とイスラエル軍の対応を批判しました。

こうした中、イスラエルのガラント国防相は22日、ハマスのシンワル指導者について「いま彼は、頭上にいるイスラエル軍の車両や空爆の音が聞こえているに違いない。もうすぐわれわれに銃を向けられることになるだろう」と述べました。

また、ほとんど情報がなく謎に包まれているとされるハマス軍事部門トップのデイフ司令官について、イスラエルのテレビ局「チャンネル12」は本人のIDカードが南部にある関係先から発見されたと伝えたほか、複数のメディアはデイフ司令官が歩いている様子が写った映像が発見されたと伝えています。

イスラエル側からハマス指導部を意識したこうした発言や報道が相次ぐ背景には戦闘が長期化する中イスラエル軍の部隊がハマス指導部に迫っていると強調するねらいもあるとみられます。