介護施設職員などからの虐待件数 昨年度850件余 過去最多更新

高齢者が介護施設の職員などから受けた虐待の件数は、昨年度850件余りと過去最多を更新したことが厚生労働省のまとめで分かりました。

厚生労働省が全国の自治体を通じて高齢者が介護施設の職員などから受けた虐待について調べたところ昨年度は856件で、前の年度から117件増えました。

また、相談・通報件数は2795件で、いずれも過去最多となりました。

虐待が起きた要因は、「教育・知識・介護技術などに関する問題」が56.1%と最も多く、次いで「職員のストレスや感情コントロールの問題」が23%でした。

一方で家庭内での家族や親族などによる虐待は前の年より243件増えて、1万6669件でした。

虐待が起きた要因を調べると、複数回答で虐待を受けた高齢者に
▽認知症の症状があったケースが56.6%。
虐待をした家族側の要因では
▽介護疲れ・介護ストレスが54.2%。
▽理解力の不足や低下が47.9%でした。

また、介護者がネグレクトをしたり、介護疲れなどから家族を殺害するいわゆる「介護殺人」をしたりしたことなどから死亡したと判断した高齢者は32人となりました。

厚生労働省は「件数が高止まりしているが虐待への意識が高まり、顕在化したことも要因の1つと考える。自治体と引き続き連携して対策を強化したい」としていて、虐待の発生を防止するため来年度から義務づけている施設での職員研修の実施などの措置が行われていない場合には、施設に支払う介護報酬を減らすことを決めています。