“北朝鮮 建設中の軽水炉が臨界に達した兆候” IAEAが懸念表明

IAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長は、北朝鮮のニョンビョン(寧辺)にある建設中の実験用軽水炉が臨界に達した兆候があると明らかにし、核兵器の原料となるプルトニウムの製造能力が高まることに懸念を示しました。

IAEAのグロッシ事務局長は、21日、声明を発表し、北朝鮮北西部のニョンビョンで建設中の実験用軽水炉について、最近の観察で冷却システムから温水の排水が確認されたと指摘しました。

グロッシ事務局長は「原子炉が臨界に達した兆候だ」とした上で、軽水炉では核兵器の原料となるプルトニウムの抽出が可能となるため、プルトニウムの製造能力が高まることに懸念を示しました。

ニョンビョンの核施設にはプルトニウムの抽出が行われる、既存の実験用原子炉がありますが、建設中の実験用軽水炉についてもアメリカの研究グループ「38ノース」がことし4月、衛星写真の分析から完成に近づいている可能性があると指摘していました。

グロッシ事務局長は声明で「軽水炉の建設と運転を含む北朝鮮の核開発を深く遺憾に思う」として重ねて懸念を示し、IAEAによる査察が必要だと訴えています。