台湾総統選挙 AI悪用とみられる不審アカウントや偽動画広がる

1月13日に投票が行われる台湾総統選挙に関連して、台湾のSNS上では、AIを悪用したとみられる不審なアカウントや偽の動画などが広がり、調査機関などが注意を呼びかけています。

偽情報などを調査する台湾のNPO「Doublethink Lab」によりますと、11月、台湾がインドからの労働者を受け入れる協定に署名する方針であることが明らかになったことをめぐり、SNS上ではAIなどで機械的に作られたと見られる不審なアカウントの投稿が相次いだことがわかりました。

署名を伝える旧ツイッターのXのある投稿には、インド人への差別的な発言とともに、蔡英文政権の方針を批判し受け入れに反対する投稿が数分おきに書き込まれ半日で少なくとも130件に上っていました。

これらの投稿について、NHKが偽情報を検証するツールで分析したところアカウントのプロフィール画像のほとんどがすでにインターネット上にある若い女性の写真や掲示板の投稿写真を流用した「偽プロフィール」で、中には生成AIで作られた可能性がある画像もありました。

これらのアカウントは数か月前に作られたばかりで、投稿の文章が似ていたり、ほかに投稿やフォローなどの活動がないことなどからNPOでは選挙への干渉をねらって社会の不安や分断をあおるためにAIなどで自動投稿されたものと見ています。

また、候補者の1人が、別の候補者について「横柄だ」などと非難する1分ほどの音声データや、1人の候補者がスピーチの中で別の陣営の候補者を称賛したとする動画もネット上で広がっています。

これらも検証ツールを用いてNHKが分析したところ、AIで加工された偽の音声や動画の可能性が高いことがわかりました。

これらについてもNPOなどが注意を呼びかけています。

台湾のNPO「Doublethink Lab」の呉銘軒CEOは「コストをかけずに偽の画像やニュースが作られてしまっているためそれらが広がらないようファクトチェックに注力しなければならない」と話しています。