首都キーウに拠点を置くウクライナ国立フィルハーモニー交響楽団は、ロシアによる軍事侵攻を受けて休止していた公演活動を去年9月に再開し、今月上旬からは4年ぶりに日本を訪れ、全国各地で演奏を行っています。
22日は、都内で公演を行い、およそ1600人の観客の前で、ドボルザークの「新世界より」や「第9」として知られるベートーベンの交響曲第9番を披露しました。
このうち「第9」について指揮者のミコラ・ジャジューラさんは、平和への願いが込められた曲だと話していて、公演を通じて、日本の人たちにウクライナへの支援を続けるよう訴えたいとしています。
「第9」では、都内に拠点を置く合唱団と美しい音色を響かせていました。
演奏が終わると、舞台にはウクライナ国旗が掲げられ、観客からは大きな拍手が送られていました。
観客の79歳の女性は「厳しい境遇だと思いますが、音が伸びやかで、感動しました。平和に向かっていくという確信を持って演奏をしていると思い、それが伝わってきました」と話していました。
公演を企画した企業によりますと、ウクライナへの支援にチケット代の一部が充てられるということです。
ウクライナ国立の交響楽団 都内で公演 平和への願い込め演奏
ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナの国立の交響楽団が22日、都内で公演し、平和への願いを込めて演奏を披露しました。
交響楽団の指揮者「力を貸してほしい」
ウクライナ国立フィルハーモニー交響楽団の指揮者、ミコラ・ジャジューラさんは、NHKのインタビューに応じ「私たちが舞台に立つことで、ウクライナの存在や戦い続けていることを日本の人たちに思い出してもらうことになる。私たちには音楽を演奏できる力もある。ウクライナには支援し、守る価値があると信じてもらいたい。力を貸してほしい」と述べてウクライナへの支援を続けるよう訴えました。
ジャジューラさんによりますと、軍事侵攻を受けて、団員のうち、ホルンやコントラバスの奏者が兵役についたほか、去年9月に公演を再開したあとは防空警報で演奏が中断されることもあるなど厳しい状況で活動を続けているということです。
ジャジューラさんは「曲を最後まで演奏できないと、本当に悔しい気持ちになる。このような行いをする相手に怒りや憎しみもこみあげる。ミサイルが家の上を通り過ぎるのを見る気持ちをどうことばにしたらいいのか、わからない」と話していました。
ただ、ウクライナで開催するコンサートには、多くの人が訪れているということで「今、戦時下において、ウクライナの人たちが極度の不安を感じる中、音楽は必要だ。人々の状態をよくするために少しでも貢献できるのであれば私たちが舞台に立つ大きな理由になる」と述べ、演奏を続ける意義を強調しました。