ことしの日本の平均気温 統計開始以降最高の見通し 気象庁

ことしの日本の平均気温は、過去最高だった2020年を大きく上回り、統計開始以降、最も高くなる見通しとなったことが気象庁のまとめでわかりました。

気象庁は、ことし1月から先月までの全国各地の観測データを分析しました。
その結果、日本の平均気温は、平年より1.34度高くなりました。

これは、過去最高だった2020年の年間の0.65度を大きく上回り、1898年の統計開始以降、最も高くなる見通しです。

気象庁は、
▽地球温暖化の影響に加え、
▽春から秋にかけて上空の偏西風が平年に比べて北寄りに流れ、日本付近が暖かい空気に覆われやすかったことや、
▽日本の南で高気圧の勢力が強かったことなどが要因だとしています。

また、日本近海の平均海面水温も年間を通して1908年の統計開始以降、最も高くなる見込みで、先月までの水温は平年に比べて1.07度高く、これまで最高だった2021年の0.74度を大きく上回りました。

気象庁気候情報課の平井雅之気候情報調整官は「これほど大きく記録を更新するような数値になったことを驚きをもって受け止めている。地球温暖化の進行によって平均的に気温が上昇していて、極端な高温の日数も増えることが考えられ、対策が必要だ」と話しています。

一方、ことしは世界各地で異常高温となり、気象庁によりますと、世界の先月までの平均気温も平年より0.53度高くなり、1891年の統計開始以降、最も高くなる見通しだということです。

専門家「平均海面水温 高い状態続くと考えられる」

日本の平均気温とともに過去最も高くなる見通しとなった日本近海の平均海面水温について、専門家は、黒潮系の暖水がこれまでにないほど北上したためなどとしたうえで、来年以降も水温の高い状態が続くと考えられるとしています。

“信じがたいような高い水温”

気象庁の異常気象分析検討会の会長で、気候変動に詳しい東京大学先端科学技術研究センターの中村尚教授は、ことしの日本近海の平均海面水温が過去最も高くなる見通しとなったことについて、近年、北日本の近海で「海洋熱波」と呼ばれる海面水温の高い現象が起きていると指摘しています。

また、ことしの夏は黒潮系の暖水がこれまでにないほど北上し、深さ300メートル付近の水温も平年より10度ほど高くなったということです。

中村教授は、信じがたいような高い水温だとしたうえで、黒潮系の暖水が入ることで、来年以降も水温の高い状態が続くと考えられるとしています。

また、海面水温は気温にも影響するため、来年の気温は地球温暖化も重なり平年より高くなる可能性があると指摘しています。

中村教授は「来年は太平洋高気圧の張り出しや偏西風の北寄りの蛇行がいずれも弱まるとみられ、ことしのような極端な暑さにはならないかもしれないが、夏は熱中症のリスクに注意し、豪雨や台風に備える必要がある」と話しています。