中国 台湾で養殖の高級魚 ハタの輸入再開 総統選前に揺さぶり

中国の税関当局は、去年から停止していた、台湾で養殖された高級魚、ハタの輸入を再開すると発表しました。中国政府は「『台湾独立』に反対しさえすれば、問題は容易に解決できる」と強調し、来年1月の総統選挙を前に台湾側への揺さぶりを強めています。

中国の税関総署は、台湾で養殖され中国に輸入された高級魚のハタについて、禁止されている薬物の成分が複数回検出されたとして、去年6月から輸入を停止していましたが、12月22日から再開すると発表しました。

輸入を認めるのはリストで公表された7つの養殖業者で、いずれも中国の圧力に対抗する姿勢を示す台湾の与党 民進党が地盤とする南部にあります。

このうち1つの業者はNHKの取材に対し「中国への輸出を続けたいなら、当然、国民党などを支持したほうがよい」と話していました。

一方、中国政府が今回の輸入再開に先立ってことし6月に輸入を再開した、台湾産の果物「シャカトウ」の産地は、中国との交流拡大の必要性を訴える台湾の最大野党 国民党の地盤でした。

今回の輸入再開を受けて、中国政府で台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室の報道官は、国民党などからの強い要望があったとしたうえで、「『台湾独立』に反対しさえすれば、同じ家族なので問題は容易に解決できる」と強調し、来年1月の台湾総統選挙を前に台湾側への揺さぶりを強めています。

台湾 検疫担当の農業部「政治的考慮 あってはならない」

台湾の民進党政権で、農水産物の検疫を担当する農業部は「政治的な考慮によって、一部の業者だけのリストを一方的に公表することは、あってはならない」と、中国の措置を非難しました。