JAL機 一部で不適切整備 記録削除も 国交省が業務改善勧告

ことし9月、日本航空の国内便の一部の整備作業で、航空法で定められた責任者の確認を行わないまま運航が続けられ、その後、関係する記録が社内システムから削除されていたことがわかりました。運航に影響はありませんでしたが、国土交通省は整備を行った日本航空のグループ会社に対し業務改善勧告を出しました。

業務改善勧告を受けたのは、日本航空のグループ会社で航空機の整備を行うJALエンジニアリングです。

国土交通省によりますと、ことし9月、日本航空の羽田発熊本行きに使用されたボーイング737型機の運航前の一部の整備作業で、航空法で定められた整備責任者の確認が行われなかったということです。

責任者は、離陸後すぐにミスに気付いて管理職に連絡しましたが、現場の管理職らは最終便の到着後に改めて整備を行えば問題ないとして運航を続け、この機体が予定していた当日の4回の運航をそのまま行いました。

その後、現場ではこの整備に関係する記録を、社内システムから削除したうえ、紙の記録も個人ロッカーに入れていたことがわかったということです。

また、ことし9月までに行われたボーイング767型機の車輪に取り付けられたブレーキの交換後の点検では、メーカーのマニュアルで規定された機器を使用せずに整備が繰り返されていたことがわかりました。

この間に行われた交換作業、105件のうち39件で必要な機器を工具室から貸し出した記録がなかったほか、38件で別の工具を使っていたということです。

この点検は、去年、日本航空機で、3年前にはアメリカの航空機で関連するトラブルが起きたことなどから実施されていて、国土交通省は航空事故を発生させるおそれがある重大な違反行為と判断されるとしています。

いずれも運航に影響はありませんでしたが、国土交通省は会社として安全運航を最優先する意識が損なわれているなどとして22日午後、JALエンジニアリングに対し、業務改善勧告を出しました。

国土交通省航空局の北澤歩安全部長から勧告を受け取ったJALエンジニアリングの田村亮社長は「このたびはご心配をおかけして申し訳ありませんでした」と謝罪しました。

このあと会社の幹部や、日本航空の広報担当者が取材に応じ「規定の理解や安全意識への欠如が原因だと思っている。日本航空全体の問題として取り組んでいきたい」と話しました。

記録の削除については「隠蔽の意図はなかった。整備責任者の確認が未実施の場合、整備自体が成立せず、リセットできると誤った考えを持ったので削除してしまった」などと説明しました。

規定の機器を使わずに整備をしていたことについては「社内で作った補足的なマニュアルには機器を使用しなくてもいいと読める書き方がしてあった。現場の疑問を解消できていなかった」などと話しました。

国土交通省はJALエンジニアリングに対し、来月16日までに再発防止策を提出するよう求めています。