政府 東電への交付国債の発行枠 15兆4000億円に引き上げ決定

東京電力福島第一原子力発電所の事故の賠償などの費用が増える見込みとなったことから、政府は、支払いを立て替えるための財源となる交付国債の発行枠を1兆9000億円増やして15兆4000億円に引き上げることを決めました。

福島第一原発の事故に伴う廃炉や賠償などの費用は2016年時点で21兆5000億円と試算されています。

このうち、賠償や除染などにかかる費用は支払いが滞らないよう、政府が交付国債を発行して立て替えるための財源に充てています。

ただ、避難者の集団訴訟などを受け、東京電力が賠償基準を見直して対象を拡大したことや、福島第一原発にたまる処理水の海への放出に伴う風評被害の賠償などによって費用の増加が見込まれています。

こうしたことから、現在の交付国債の発行枠の13兆5000億円では足りなくなる見通しとなり、政府は22日、原子力災害対策本部の会議を開いて、発行枠を1兆9000億円増やし、15兆4000億円に引き上げることを決めました。

これに伴い、廃炉や賠償などにかかる費用の総額も23兆4000億円に膨らむ想定となります。

政府は、賠償の一部や廃炉にかかる費用は最終的に東京電力が負担することから、会社側に対して、新潟県にある柏崎刈羽原発の再稼働など収益の改善に取り組むよう求めることにしています。

齋藤経産相「賠償資金の捻出へ 経営改革を」

齋藤経済産業大臣は、22日の閣議のあとの会見で、「今後、賠償などの費用の増加が見込まれる中で、東京電力が被災者や地元にしっかりと寄り添い、責任を果たしていくことが重要だ。この決定を踏まえ、本日、東京電力の小林会長らに対して迅速かつ適切に賠償を行い、賠償の資金を捻出するため経営改革に取り組むことを求めていきたい」と述べました。