岸田首相 政調会長に渡海氏 国対委員長に浜田氏の起用 決定

自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けて、岸田総理大臣は、辞表を提出した党幹部の後任人事を行い、政務調査会長に渡海・元文部科学大臣を、国会対策委員長に浜田・前防衛大臣をそれぞれ起用することが決まりました。

岸田総理大臣は、先週、辞表を提出した自民党安倍派の萩生田政務調査会長と高木国会対策委員長の後任人事を行いました。

そして、22日午前の党総務会で
▼政務調査会長に渡海紀三朗・元文部科学大臣を
▼国会対策委員長に浜田靖一・前防衛大臣をそれぞれ起用することが決まりました。

岸田総理大臣としては安倍派の4人の閣僚らを交代させたのに続き、党の要職にいずれも無派閥のベテラン議員を起用して体制の立て直しを図り、来年の通常国会に臨みたい考えです。

また、今回の人事にあわせて、国会対応にあたる体制を強化するため、
▽安倍派の西村明宏・国会対策委員長代理を国会対策委員長代行に格上げするとともに、
▽新たに無派閥の御法川信英氏を国会対策委員長代理に起用する方向で調整が進められています。

就任した自民 渡海政調会長「信頼回復のため政策しっかり作る」

新たに就任した自民党の渡海政務調査会長は、記者団に対し「高揚感より緊張感が強い。政治の動きを止めるわけにはいかず、信頼回復のためにも政策をしっかり作ることが重要だ。党の総合力を政策に反映できるよう頑張りたい」と述べました。

その上で、派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けた党内議論について「執行部の一員として議論に参加し、責任を果たさなければならない。党の『政治改革大綱』も議論のそ上に載せ、新たな大綱を作るのがよいのではないか」と述べました。

就任した自民 浜田国対委員長「大変重大な仕事をいただいた」

新たに就任した自民党の浜田国会対策委員長は22日午後、国会内で立憲民主党の安住国会対策委員長らに就任のあいさつを行ったあと、記者会見しました。

この中で浜田氏は「自民党がこのような状況の中、どのように国会に向き合っていくのか、大変重大な仕事をいただいた。与野党で話し合いながら動かしていくことが重要で、できるだけ多くの機会を作って各党の国会対策委員長と議論を深めたい」と述べました。

そのうえで「自民党がいろいろな批判を受けているところなので、必要な制度など、野党からも提案をいただき、相談しながらやっていくことが重要だ。来年の通常国会までにそういう形ができればいいと思う」と述べました。

岸田首相「経験 実行力 調整力兼ね備えたベテラン議員に」

岸田総理大臣は22日夜、総理大臣官邸で記者団に対し、22日の自民党の幹部人事について「経験、実行力、調整力を兼ね備えたベテラン議員で、派閥がどうこうではなく、政策決定や国会運営で能力を発揮していただける方にお願いした」と述べました。

また、一連の政治資金をめぐる問題を受けた再発防止策について、「国民の信頼を回復し、具体的で実効ある対策を行うためにも、事態の全容や原因、課題を踏まえて判断することが重要だ。きのう、党の青年局に全国の若い党員のさまざまな声をしっかり受け止め、報告するよう指示した。事態の推移を見ながら、しかるべきタイミングで新たな枠組みを考えるなど、的確な対応を講じていきたい」と述べました。

林官房長官「緊張感持ち国民の信頼回復を」

林官房長官は、臨時閣議のあとの記者会見で「2人とも大変経験が豊富で、それぞれの役職でしっかり役割を果たされるものと考えている。緊張感を持って政府・与党で緊密に連携しながら、国民の信頼回復と内外の諸課題に取り組んでいきたい。2人とも長いおつきあいなので、私としても緊密に連携したい」と述べました。

岸田首相 麻生副総裁 茂木幹事長と会談 林官房長官も同席

岸田総理大臣は22日昼ごろ、自民党の麻生副総裁、茂木幹事長と都内のホテルで1時間余り会談し、林官房長官も同席しました。林官房長官も含めた4人での会談は初めてです。

この中では、派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けて、政務調査会長と国会対策委員長が交代したことも踏まえ、今の党内情勢や今後の政権運営をめぐって意見を交わしたものとみられます。

自民 森山総務会長「危機的状況乗り越えなければならない」

自民党の森山総務会長は記者会見で「渡海氏、浜田氏ともに経験豊かなベテランなので、緊密に協力をしあいながら党が直面している危機的というべき状況を乗り越えなければならない」と述べました。

その上で、無派閥の2人が起用されたことについて「本来、党役員が派閥で構成されることはなく、どこの派閥に属してるからということで人事が左右されてはいけないし、そういうことはないと理解している」と述べました。

一方、萩生田氏と高木氏の辞任については「極めて遺憾なことだが、辞任といういちばん重い形で責任を明確にしたことは理解いただけるのではないか」と述べました。

立民 泉代表「中途半端な法案出すなら何の改革にもならない」

立憲民主党の泉代表は、青森市で記者団に対し「そもそも今の自民党に政治資金規正法の改正案を国会に提出する資格はないが、新たな政務調査会長が中途半端な抜け道だらけの法案を出すなら何の改革にもならない」と述べました。

また「新たな国会対策委員長には、政治倫理審査会の開催や関係する委員会の閉会中審査などに応じることが求められる。派閥に配慮するのか政治改革に向けた国会運営を行うのかが問われる」と述べました。

公明 山口代表「連携を密に 国会運営や政策遂行に力を発揮」

公明党の山口代表は、記者団に対し「人事は任命権者の判断であり尊重したい。与党として連携を密にして、これからの国会運営や政策遂行に力を発揮していきたい。与党の連携が密になることが国民の安心につながっていく」と述べました。

自民 萩生田政調会長「一兵卒に戻り しっかり仕事したい」

自民党の萩生田政務調査会長は、党の会合で「政務調査会長の職を辞することになり、こののちは渡海会長のもとでしっかり仕事をしていただきたい。戦列を離れるのは本当に申し訳ないかぎりだが、一兵卒に戻り、部会や調査会でしっかり仕事をしていきたい」と述べました。