その荷物 飛行機内には持ち込めません 年末年始はご注意を!

思い出の品や買ったばかりのお土産を突然、手放さなければならない…
そんな“悲劇”が、空港の保安検査場では日常的に起きています。

中には危険物ではなくても「機内に持ち込めない」ものもあります。

帰省や旅行で飛行機に乗る機会も増える年末年始。
気をつけなくてはいけない主なポイントをまとめました。

(大阪放送局 関西空港支局 記者 高橋広行)

回収品の山

関西空港で、ピーチ・アビエーションの検査会社の担当者が見せてくれたのは、12月20日までの1週間で、国内線と国際線の保安検査場で回収された「危険物」や「制限品」です。

ライター類が1200個あまりと最も多く、化粧品類が800個あまり、刃物・工具類が300個あまりと続きます。

しかし、回収品の中には、「なぜこれが?」と思うものもありました。

たとえばこちらの折り畳み傘。

これも機内に持ち込むことはできません。

なぜか?

持ち手の部分をよく見ると?

“日本刀”風なつくりになっています。

こんな風に持ってみると、刀を持っているようにも見えませんか?

こちらの傘は凶器に「見せかけ」ることができるとして、機内に持ち込むことができません。(預け荷物に入れることはできます)

回収品の中には、“日本刀”風の折り畳み傘が何本もありました。

また、土産物などとして売られているおもちゃの「手裏剣」や「くない」。

金属製ではなく、ゴム製やプラスチック製ですが、こちらも同じ理由で機内には持ち込めません。

機内持ち込み荷物には厳格なルール

航空機内に持ち込める荷物については、ICAO=国際民間航空機関の取り決めや航空法によってルールが定められています。

ライターや刃物は、機内に持ち込めないことはよく知られています。

しかし、検査会社や国土交通省によると、実はライターは小型で服のポケットなどに入れて携帯できるなど一定の条件を満たした場合にかぎり、1人1個だけ機内に持ち込むことができます。(預け荷物に入れることはできません)

ただ「ターボライター」と呼ばれる液化ガスライターや長さが10センチ以上ある「多目的ライター」は持ち込むことができません。

2個目のライターが手荷物に混じっていたり、ターボライターと気付かずに持っていて、回収されるケースが多いといいます。

刃物・工具類はキャンプなどで使ったものを手荷物に入れっぱなしにしてしまう人が多いとみられています。(刃物・工具類は、預け荷物に入れることはできます)

化粧品などの液体 厳しい制限が

化粧品を含むあらゆる液体類は、特に国際線で制限が厳しくなっています。

預け荷物に入れることはできますが、機内に持ち込むには、各自で用意した100ミリリットル以下の容器に詰め替えた上で、その容器を容量1リットル以下の無色透明なジッパー付きの袋に入れる必要があります。

さらに持ち込めるのは1袋のみです。
(クリーム状やジェル状のもの、歯磨き粉も対象です)

回収された化粧品は、旅先で購入したのか、新品やほとんど使われていないものが多くありました。

意外に多い“ヘアアイロン”

ヘアアイロンも回収された数が多く、1週間で44個に上っていました。

ヘアアイロンは、コンセント式であれば機内への持ち込みも、預け荷物に入れることも可能です。

ただ、充電して使うコードレス式の場合は、機内モードがあるか、バッテリーを本体から取り外せる場合を除いて、機内に持ち込むことも預け荷物に入れることもできないということです。

旅先でおしゃれも楽しみたい人も多いと思いますが、気をつけてください。

モバイルバッテリーにも制限が

スマートフォンなどのモバイルバッテリーは、ワット時定格量が160Wh以下であれば機内への持ち込みのみ可能です。

ただし製品に定格量が表記されていないなど確認できない場合は、持ち込むことはできないということです。

製品によっては単位が「Wh」ではなく、「mAh」で表記されていますが、その場合は43243mAhを下回っていれば機内に持ち込むことができます。

ただ、容量に関係なく預け荷物に入れることはできません。

弁当にも注意!

航空各社がこの時期、特に注意を呼びかけているのが、加熱式弁当です。

ひもを引っ張ることで化学反応を起こし、蒸気で弁当をあたためます。

ある加熱式弁当のパッケージには「航空機内で召し上がらないでください」としか書かれていませんでしたが、中に含まれる生石灰が危険物に該当します。

機内への持ち込みも預け荷物に入れることも禁止されているのです。

持っていたら…

保安検査場で見つかった危険物は、飛行機に乗るためにはその場で所有権を放棄する必要があります。

その後、保安検査会社によって処分され、手元に戻ることはありません。

関西空港では、コロナ禍からの利用者の回復にともなって、こうしたルールを知らずに持ち込もうとするケースが急増しているということです。

検査会社 山内裕司 保安検査隊長
「中には思い出の品や高級品もあり、肩を落とすお客様の姿をよく目にします。ルールとはいえ、私たちも大変心苦しい思いです。気持ちよく搭乗していただくために必ず十分に確認をしてほしい」

ここに記載した例は、あくまでルールの一部です。

製品の規格によって可否が異なったり、機内への持ち込みは無理でも預け荷物の中に入れることは可能だったりと細かな条件があります。

国土交通省や航空会社のホームページで、“事前に”確認してください。

12月21日「ほっと関西」 12月22日「ニュース きん5時」で放送済み