リニア中央新幹線工事 JR東海とダム事業者が取水量抑制で合意

静岡県が着工を認めていない「リニア中央新幹線」をめぐり、JR東海の丹羽社長は、工事による川の水量への影響を抑えるために上流部のダムの取水量を抑える案の実施に向けて、ダムを管理する電力事業者との間で合意したと明らかにしました。

リニア中央新幹線をめぐっては、静岡県が県内を流れる大井川の水量が減ることなどを理由に県内での着工を認めていません。

このため、JR東海は工事で県外に流出する水量と同じだけ上流部のダムの取水量を抑える案を対策として示し、静岡県は、11月、流域自治体などで作る協議会がこの案を了承したとJR側に通知していました。

これについて、JR東海の丹羽俊介社長は21日の定例の会見で、ダムを管理する東京電力の関連会社との間で、取水量を抑える方法や補償の考え方について基本合意書を締結したことを明らかにしました。

丹羽社長は「合意書の締結は大井川流域の方々の心配の解消に向けて大きな前進だと考えている」と述べました。

一方、静岡県の川勝知事が、JR東海の社長交代を理由に、再びリニアの山梨ー神奈川間の先行的な部分開業を主張したことについて、丹羽社長は「仮に限定的な区間で開業する場合でも車両基地など開業のための多くの設備をセットで完成させる必要があり、確認すべきことも数多くあるので現実的ではない」と述べ、部分開業には否定的な考えを示しました。