「溶連菌感染症」の一種 都が初の警報発表 “感染対策を”

主に子どもが感染し、発熱などの症状が出る「溶連菌感染症」の一種について東京都は、都内の患者数が基準を上回ったため初めて警報を発表し、今後、さらに流行が拡大する可能性もあるとしてこまめな手洗いなどの感染対策を呼びかけています。

「溶連菌感染症」の一種、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は、数日の潜伏期間のあと、突然の発熱やのどの痛みなどの症状が出る子どもがかかりやすい感染症です。

都によりますと、12月17日までの1週間の都内の患者数が、複数の保健所で基準を超えるなどしたため、21日、感染症法が施行された1999年以降初めて警報を発表しました。

今後、さらに流行が拡大する可能性もあるとしています。

このほかの感染症では1医療機関当たりの患者数について
▽子どもを中心に感染する「咽頭結膜熱」は、3.36人と、前の週の3.23人からやや増え、引き続き警報の基準を超えています。

▽インフルエンザは20.48人で、前の週の20.30人と横ばいで引き続き注意報の基準を超えています。

▽新型コロナは、2.58人で4週連続で増加しています。

都はこまめな手洗いや、せきやくしゃみが出る場合はマスクをするなどの感染対策を呼びかけています。

溶連菌感染症とは

溶連菌にはさまざまな種類がありますが、発熱やのどの痛みなどの症状が出る溶連菌感染症のほとんどが「A群溶血性レンサ球菌」という細菌が原因です。

主に幼児や小学生などの子どもがかかり、数日の潜伏期間のあと、突然の38度以上の発熱やのどの痛みなどの症状のほか、首や胸などに赤い発疹が出たり、舌に小さな赤いできものが出たりすることがあります。

専門家「マスク 手洗いなど基本的な感染対策を」

溶連菌感染症の一種「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎」について、感染症に詳しい国際医療福祉大学の松本哲哉 主任教授は「マスクや換気、手洗いといった基本的な感染対策が重要だ」と呼びかけています。

松本教授は、溶連菌感染症の患者が各地で増加していることについて「新型コロナウイルスの感染対策によって感染の機会が抑えられ、免疫を持たないまま経過したがコロナの5類移行によって対策が緩和されたことで、広がりやすい場で一気に広がってしまっている」と述べました。

溶連菌感染症は発熱やのどの痛み、けん怠感などの症状が出ることが多く、感染が疑われる場合は受診して検査してほしいとしたうえで「抗生物質が効くため、それをきちんと投与すれば早めに回復することができるし、合併症のリスクも減らすことができる」と指摘しています。

そのうえで、注意点として「薬を飲んで数日で症状が改善しても菌が一部残っていることがあるので、抗菌薬の服用は決められた日数を守ってほしい」としています。

また、感染対策については「飛まつでの感染を防ぐためのマスクや接触での感染を防ぐための手洗いが重要だ。口の中に入ったかもしれない場合は、うがいも有効かと思うので、基本的な感染対策を続けていくことが大事だ」と呼びかけています。