ダイハツ 国土交通省が本社に立ち入り検査 大阪 池田

自動車メーカーのダイハツ工業が不正に国の認証を取得していた問題で、国土交通省は21日、詳しい経緯を確認するため、大阪・池田市にあるダイハツの本社に対する立ち入り検査を行いました。

ダイハツ工業をめぐる国の認証の不正取得問題では20日、会社から▼現在、生産・開発を行っている全28車種と、▼すでに生産が終了している18車種で不正が確認されたと、国土交通省に報告がありました。

これを受け、国土交通省は詳しい経緯を確認するため、21日午前9時ごろから道路運送車両法に基づき、大阪・池田市にあるダイハツの本社に対する立ち入り検査を行いました。

立ち入り検査は午後5時半ごろまでおよそ8時間半におよびました。

これまで、会社と第三者委員会が行った調査では、衝突試験やブレーキに関する試験の結果の虚偽記載などの不正が確認されています。

国土交通省によりますと、22日以降も立ち入り検査を行う予定で、▼試験データが記載された資料の確認を進めるほか、▼担当者や幹部への聞き取りを行って不正が行われた詳しい事実関係の確認を行うということです。

そのうえで、検査結果を精査し、処分を検討するとしています。

国の認証制度とは

国土交通省によりますと今回、不正が明らかになったのは、自動車メーカーが新型車の生産や販売を行う前に国の審査を受ける「型式指定」と呼ばれる認証の制度に関してです。

新型車で衝突や排ガスの試験を行い、その結果が国の基準に適合すれば型式指定を受けられ、指定を受けると1台ごとの国の新規検査が省略されて同じモデルの大量生産を行いやすくなります。

軽微なモデルチェンジなどの場合は、自動車メーカーによる試験で基準に適合しているかを確認し、国が書類で審査するケースもあるということです。

ダイハツ「当局の指導に基づき 適切に対応」

国土交通省の立ち入り検査を受けたことについてダイハツ工業は「お客様をはじめとするステークホルダーの皆さまの信頼を裏切り、多大なるご迷惑とご心配をお掛けしておりますことを深くおわび申し上げます。今後、当局の指導に基づき、適切に対応して参りたいと考えております。信頼回復に向けて再発防止の取り組みなどを全社を挙げて推進してまいります」とコメントしています。

ダイハツ「一日も早い信頼回復に取り組む」

国土交通省の立ち入り検査を受けたことについて、「ダイハツ工業」のコーポレート統括本部の井出慶太 統括部長が記者団の取材に応じ「このような不正が発覚し、改めて当局の目で見てもらうことは必要な措置だと思っている。立ち入り検査に全面的に協力し、一日も早い信頼回復に取り組みたい」と述べました。

また、井出氏は、出荷停止による部品メーカーなどへの対応を問われたのに対し「こちらからの情報に沿って仕入れ先で、すでに用意してもらっている部品については、購入するなどの対応を考えている。仕入れ先から販売店に至るまで大変なご迷惑をおかけしている。個別に、丁寧に状況や事実を説明し、誠心誠意、対応していきたい」と述べました。

林官房長官「事実確認など踏まえ 厳正に対処」

林官房長官は記者会見で「自動車ユーザーの信頼を損ない、自動車認証制度の根幹に関わる不正事案で、極めて遺憾だ。まずは自動車ユーザーなどに対する丁寧な説明に努めてもらいたい。国土交通省が立ち入り検査を開始しており、今後、不正行為の事実確認などを踏まえて厳正に対処していく」と述べました。