【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(12月21日の動き)

ウクライナは、来年、FPVと呼ばれる性能を備えた無人機を100万機製造する計画を明らかにしました。
FPVは、自分が操縦しているような感覚で上空からの映像を確認できるもので、ウクライナは、ロシアに対する技術的な優位も確保して戦況を好転させたい考えです。

戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる21日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナ FPV無人機を来年100万機製造へ

ウクライナのゼレンスキー大統領は、今月19日の記者会見で、無人機の生産能力を強化して来年には、100万機の製造を目指す考えを示しました。

100万機の無人機について、ウクライナのカミシン戦略産業相は20日、FPVと呼ばれる性能を備えたタイプだと明らかにしました。

FPVは、自分が操縦しているような感覚で上空からの映像をリアルタイムで確認できるもので、小型で安価なことも特徴です。

ウクライナ軍はすでに戦地に投入し、ロシア軍も積極的に活用していて、双方にとってFPVは、攻撃を進める上で極めて重要な兵器となっています。

カミシン戦略産業相は来年はFPVに加えて、航続距離が数百キロの攻撃用無人機を1万機、1000キロを超える攻撃用の無人機を1000機以上製造する計画も明らかにし、ロシアに対する技術的な優位も確保して戦況を好転させたい考えを示しました。

米財務省 ロシア産石油製品の制限措置について監視を強化

G7とオーストラリア、それにEU=ヨーロッパ連合は、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアの資金源を抑えこむためロシア産の石油製品の取り引きについて制限を設けています。

具体的には、ロシアから海上輸送される原油について去年12月から国際的な取り引きの上限価格を1バレル60ドルに設定しているほか、その後、ディーゼル燃料や重油なども制裁対象に追加しました。

アメリカの財務省は20日、この上限価格をこえて取り引きする制裁逃れが行われている疑いがあるとしてG7などが監視を強化すると発表しました。

ロシア産の原油を取り扱う場合、荷揚げや積み込みの際に取引価格の証明書を示すことを義務づけるなどとしています。

アメリカの財務省は、ロシア政府の石油や石油関連製品の税収がことし1月から先月までで、前の年の同じ時期と比べ32%減少するなど効果がでているとしています。

一方、財務省はUAE=アラブ首長国連邦や香港の事業者が上限を超えた価格の取り引きに関わっていたとしています。

ウクライナ側「ロシア軍は攻勢を急いでいる」認識示す

ウクライナ空軍は20日、ロシア軍が、南部オデーサ州などに対して19機の無人機による攻撃を仕掛け、このうち18機を撃墜したと発表しました。

南部の都市ヘルソンでは、住宅や教育機関、医療施設などがロシア軍の攻撃を受け、子ども4人を含む9人がけがをしたと、地元当局がSNSで発表するなど、市民の犠牲が絶えません。

一方、ロシア軍は東部でドネツク州を中心に攻勢を強めているもようで、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は、州都ドネツクに近い拠点の一つアウディーイウカやバフムトの近郊でロシア軍がわずかに前進しているという見方を示しました。

ウクライナ陸軍の報道官は地元メディアに「ロシア軍は攻勢を急いでいる。あらゆる方面で戦闘が活発になっていて、バフムト方面では24時間戦闘が続いている」と述べていて激しい戦闘が続いているとみられます。

ロシアのプーチン大統領は、このところウクライナ軍の反転攻勢は失敗しロシア軍が戦況で主導権を握っているなどと繰り返し主張していて、軍事侵攻の開始からまもなく1年10か月となる中でロシア側は一層攻勢を強める構えです。

米高官 ウクライナ軍事支援継続の緊急予算 早期承認が必要

アメリカ議会が、ウクライナへの軍事支援を継続するのに必要な緊急予算の年内の承認を断念したことについて、アメリカ政府の高官は、ロシア軍は攻撃的な作戦を続けるつもりだとして早期の予算の承認が必要だと強調しました。

アメリカ議会では、ウクライナに軍事支援を続けるための緊急予算をめぐって与野党の協議がまとまらず、民主・共和両党の議会上院トップは19日、年内に予算を承認することを断念する考えを明らかにしました。

これについてホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は20日記者団に対し、年内にあと1回、ウクライナへの追加の軍事支援を行ったあと、支援のための予算は枯渇すると改めて指摘しました。

そしてウクライナに軍事物資を届けるのに数週間かかる場合があるとした上で「ロシア軍は東部地域で攻撃的な作戦を継続するつもりで、1月末から2月にかけて地面が凍結すればロシア軍にとって移動しやすい環境になる」と述べ、早期の予算の承認が必要だと強調しました。

民主・共和両党の上院トップは来年のはじめに緊急予算を承認できるよう協議を続ける考えを示していますが、ウクライナの最大の支援国であるアメリカの支援の先行きが見通せない状況が続いています。