社会

自転車「青切符」導入へ 反則金は5000円から1万2000円程度想定

自転車の交通違反の取締りが大きく変わることになります。
自転車の悪質な交通違反が後を絶たないことから、警察庁は、反則金を課すいわゆる「青切符」による取締りを導入する方針を固めました。

100余りの違反が対象に。何をしたら違反になる?反則金は?

目次

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2023年12月21日 18時06分 更新

どう変わるの?「青切符」取締りの対象は?反則金は?

「青切符」取締りが導入されると、どう変わるのでしょうか。

年齢
取締りの対象となる利用者は16歳以上となります。
最低限の交通ルールを知っていると考えられることや、原付き免許などを取得できる年齢であること、そして、電動キックボードを運転できる年齢であることなどが考慮されました。

対象となる違反

「青切符」の対象となるのは100余りの違反で、このうち重点的に取り締まるのは事故につながるおそれのある重大な違反行為としています。

反則金は5000円から1万2000円程度が想定されています。

具体的には
▼信号無視、
▼一時不停止、
▼右側通行などの通行区分違反、
▼自転車の通行が禁止されている場所を通ること、
▼遮断機が下りている踏切に立ち入ること、
▼例外的に歩道を通行できる場合でも徐行などをしないこと、
▼ブレーキが利かない自転車に乗ること、
▼携帯電話を使いながら運転すること、
▼傘を差したりイヤホンを付けたりしながら運転するなど都道府県の公安委員会で定められた順守事項に違反すること、が対象となります。

「赤切符」刑事罰の対象は

一方、酒酔い運転や酒気帯び運転などの飲酒運転、携帯電話を使用しながら事故につながるような危険な運転をした場合は、これまでどおり、「赤切符」が交付され、刑事罰の対象となります。

取締りは通勤や通学の時間帯や事故が増える薄暮時間帯に自転車が多い駅の周辺や過去に自転車の事故が発生した場所などで重点的に行われることが想定されています。

警察官の警告に従わずにこうした違反行為を続けた場合や事故につながるような危険を生じさせた場合に「青切符」を交付し、取締りを行う方針です。

導入の背景 自転車に違反行為も多く

警察庁によりますと、全国の交通事故の発生件数は年々、減少している一方で、自転車が関係する事故の占める割合は増加傾向が続いているうえに、去年、自転車が関係した死亡・重傷事故のうち、およそ4分の3で自転車に違反行為があったということです。

こうした状況を受けて、警察庁は、有識者会議で取締りのあり方などについて検討した結果、自転車にも自動車やオートバイのように反則金を課すいわゆる「青切符」による取締りを導入する方針を固めました。

警察庁は来年の通常国会に道路交通法の改正案を提出する方針で、身近な交通手段の交通違反の取締りが大きく変わることになります。

現在 違反の多くに罰則伴わず

現在、自転車の交通違反の取締りの多くは、交通ルールが書かれたカードを違反者に見せる「警告」などが行われていて、罰則は伴いません。

去年は全国でおよそ131万件ありました。

一方、悪質な違反には交通切符、いわゆる「赤切符」が交付され、刑事罰の対象として検察庁に送られることになっていて、去年、全国で「赤切符」などで検挙されたのは2万4549件でしたが、その多くは起訴されず、罰則が適用されるケースは少ないということです。

利用者 “ぶつかりそうに” “車道を通るの怖い”

「青切符」の導入について、自転車の利用者からはさまざまな意見が聞かれました。

70代の男性
「青切符の導入に大賛成です。ヘルメット着用など自分でも気をつけていますが、モラルやマナーを守る人が増えたらうれしいです」

20代の男性
「イヤホンをつけて運転している人とぶつかりそうになったことがあるし、夜は信号無視をする人も多いので改善につながればいいと思う」

50代の女性
「自転車は車道を走らないといけないですが、車道を通るのは怖いです。自転車を運転するときはスピードを出しすぎないように意識しています」

“ルール知っていても守れていない” 実効性ある取締りが課題

「青切符」による取締りを行う反則金制度を導入する背景には、交通事故全体の件数が減少傾向にある中で、自転車の交通違反が重大な事故につながるケースが相次いでいることがあります。

警察庁によりますと、全国の交通事故の発生件数は毎年、減少している一方で、自転車が関係する交通事故は去年は6万9985件で、2年連続で増加しました。

ことしも11月までに自転車が関係する事故は6万5397件発生していて、去年の同じ時期より2000件余り多くなっています。

さらに、去年、全国で起きた自転車が関係する死亡・重傷事故7107件のうち73.2%にあたる5201件で自転車側に前方不注意や信号無視、一時不停止などの交通違反が確認されたということです。

また、警察庁が全国のおよそ5000人を対象にインターネットで行ったアンケートでは、
▼「自転車乗車中に携帯電話を使用してはいけない」という交通ルールを正しく認識している人は90%を超えていた一方で、
▼これを守れていると答えた人は67%にとどまるなど、
交通ルールを知っていても守れていない人が一定数いるとしています。

重大な事故につながる悪質な自転車の違反を減らすため、実効性のある取締りや効果的な啓発が喫緊の課題となっています。

専門家「その違反が危ないと気付かせてくれる機会に」

自転車に関わる政策の調査・提言などをしているNPO法人「自転車活用推進研究会」の理事長で、警察庁の有識者検討会で委員を務める小林成基さんは「自転車は何をしてもいいと勘違いしている人や、車用の信号や標識に従わなくてもいいと思っている人が増えていると感じる。反則金の制度を導入することで、これまでよりも注意されることが多くなるかもしれないが、それは、その違反が危ないことなんだと気付かせてくれる機会なので、事故が減ることを期待したい」と話しました。

その上で、自転車の交通違反の背景には、路上駐車など道路の状況にも課題があると指摘し「自転車が安心して快適に走れる環境づくりをすることが大事だと思う。警察の取締りと環境整備は両輪だと思うので、うまく連携しながら進むことを期待する」と述べました。

警察庁長官「対策強化する必要が」

警察庁の露木康浩 長官は21日の記者会見で「交通事故全体が長年にわたって減少傾向で推移してきたが、自転車については近年、対歩行者の事故が増加傾向にある。自転車の交通秩序が今後の小型モビリティの交通秩序にも大きく影響するのではないかと考えられるので、安全教育、違反処理、交通規制の3つの点で対策強化する必要がある」と述べました。

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