台湾総統選 候補者によるテレビでの政見発表会 1回目

来月投票が行われる台湾総統選挙の候補者によるテレビでの政見発表会が、20日夜行われました。

台湾総統選挙には、
与党・民進党から今の副総統の頼清徳氏、
最大野党・国民党から今の新北市長の侯友宜氏、
野党第2党・民衆党から前の台北市長の柯文哲氏の3人が立候補しています。

総統選挙では、候補者による政見発表会を中央選挙委員会が3回開催してテレビで中継するという決まりがあり、1回目が20日夜行われました。

抽せんで決まった順序に従って最初に発言した国民党の侯氏は、民進党政権のもとで「戦争がどんどん近づき、平和がどんどん遠くなっている」と批判しました。

そして、台湾海峡両岸で意思疎通と交流を絶えず行い、互いの善意を増進することで、衝突のリスクを下げると主張しました。

続いて発言した民進党の頼氏は「防衛力、経済、そして民主主義陣営との協力を強めることで抑止力を発揮させる。戦争に備えることによって戦争を避ける」と主張しました。

そして、「台湾は中国の一部だ」とする「1つの中国」の考え方を野党の2人の候補者がいずれも受け入れているとして批判しました。

3番目に発言した民衆党の柯氏は、中国との関係について「今の民主的で自由な政治体制と生活様式を保つという前提のもとで、対等で尊厳あるやり方で大陸と対話を進めたい」と述べました。

一方で、「国の安全を相手側の善意に完全に預けるわけにはいかず、十分な防衛力を持たなければならない」として、防衛費をGDP=域内総生産の3%に引き上げると主張しました。

最近の主な世論調査によりますと、支持率は頼氏がトップで侯氏が2位となっていますが、ともに30%台で大きな差はありません。

3位の柯氏は20%前後にとどまっているものの、20代と30代の有権者は柯氏を支持する割合が高くなっています。

選挙戦の大きな争点は、台湾への圧力を強める中国との向き合い方ですが、経済など生活に関わりの深い政策にも有権者の関心は向いていて、若者や特定の支持政党を持たない中間層にいかに支持を広げられるかが当選のカギになるとみられています。

投票日が来月13日に迫る中、各候補は、来週行われるあと2回のテレビ政見発表会と、主要メディアが共同で開催する候補者どうしのテレビ討論会で政策をアピールするとともに、各地で大規模な集会を開くなどして票の上積みを図ることにしています。