「医師の過労死家族会」設立 厚労省に医師の働き方改善求める

神戸市の病院で働き、過労死した医師の母親などが、ほかの遺族とともに家族会を立ち上げ、20日に厚生労働省に医師の働き方の改善を求めました。

「医師の過労死家族会」を立ち上げたのは、神戸市の甲南医療センターに勤務し、去年、亡くなった高島晨伍さん(当時26)の母親の淳子さんです。

高島さんは、より専門的な技術などを学ぶ「専攻医」として研修を受けながら診療にあたっていましたが、去年5月に自殺し、労働基準監督署は極度の長時間労働が原因として労災と認定しました。

家族会では、高島淳子さんと、24年前に小児科医だった当時44歳の夫を亡くした中原のり子さんが共同代表を務め、20日に都内で開かれた初めての会合には、ほかの医師の遺族なども参加しました。

この中で、総合病院に勤務していた30代の夫を亡くした妻が「夫は亡くなる前日、『誰かが倒れないと病院は分からない』と話していましたが、働き方がおかしいと訴えるために生きてきたわけではありません。仕事で命が奪われることは、なくなってほしいです」と訴えました。

このあと家族会は、厚生労働省を訪れ、
▽学会の準備などは、医師の「自己研さん」とされていますが、正確に労働時間に反映されていないとして、病院にいる時間は原則、労働時間に換算することや
▽すべての医療従事者に、労務管理についての研修を義務づけることなど、
医師の過労死を防ぐため、働き方の改善を求める請願書を担当者に手渡しました。

高島淳子さんは「患者の命を守る医師が、命を落とすことはあってはならないことです。医師が過労死の加害者にも被害者にもならないように、労働環境の改善をせつに願います」と話していました。