咽頭結膜熱 8週ぶり減少 溶連菌感染症は“過去10年最多”更新

子どもを中心に流行が続く咽頭結膜熱の今月10日までの1週間の患者数は8週ぶりに前の週から減少しましたが、依然として多い状況が続いています。また、「溶連菌感染症」の一種の患者数は過去10年間で最も多い状況が4週連続で続いていて、専門家は「マスクの着用や換気、手洗いといった基本的な感染対策が重要だ」と話しています。

咽頭結膜熱 1医療機関当たりの患者数が8週ぶりに減少

咽頭結膜熱は子どもを中心に高熱や結膜炎などの症状が出るウイルス性の感染症で、せきやくしゃみなどの飛まつで感染するほか、ウイルスが付着したタオルなどを介しても感染します。

国立感染症研究所によりますと、今月10日までの1週間に全国およそ3000の小児科の医療機関から報告された患者数は、前の週より755人少ない1万947人となりました。

1医療機関当たりでは3.48人と前の週を0.24人下回り、8週ぶりに減少しましたが、依然として多い状況が続いています。

都道府県別では▽福井県が8.76人、▽北海道が7.59人、▽富山県が6.59人、▽福岡県が6.09人となっているほか、▽東京都で3.23人などと、合わせて24の都道府県で国の警報レベルの目安となる「3」人を超えています。

また、▽大阪府と▽愛知県では2.57人となっています。

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は患者の増加続く

また、主に子どもが感染し、発熱やのどの痛みなどの症状が出る「溶連菌感染症」の一種、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は患者の増加が続いています。

今月10日までの1週間に報告された患者数は前の週から2093人増えて全国で合わせて1万5196人、1医療機関当たりでは4.83人となっていて、過去10年間での最多を4週連続で更新しました。


都道府県別では▽鳥取県が10.68人、▽宮崎県が8.31人、▽千葉県が8.17人と3つの県で国の警報レベルの基準となる「8」人を超えているほか、▽東京都では6.25人、▽大阪府で5.01人、▽愛知県では3.49人などとなっています。

「咽頭結膜熱はアルコール消毒が効きづらい 手洗いが重要」

子どもの感染症に詳しい国立病院機構三重病院の谷口清州院長は「これから保育所や学校などが冬休みに入るため、患者数は一時的に減少するとみられるが年明けに再び増加する可能性がある。人が集まるところではマスクを着用する、換気を行うといった基本的な感染対策を引き続き取ってほしい。また、咽頭結膜熱のウイルスに対してはアルコール消毒が効きづらいので、手洗いで物理的にウイルスを洗い流すことが重要だ」と話しています。

東京都内の小児科クリニック 発熱などで多くの子どもが受診

都内の小児科のクリニックでは、引き続き発熱などで受診する子どもが多く訪れています。

東京 港区にある小児科のクリニックでは、ことしは発熱などで受診する子どもがコロナ禍前の1.2倍から1.5倍ほどに増えているということで、19日午前中も7歳の男の子が発熱で受診し、インフルエンザの検査を行ったところ陽性になっていました。

クリニックによりますと、検査に使われている検査キットは発熱からの時間が短いと感染していても陽性にならない場合があるため、中には翌日、再度検査を行うこともあるということです。

医療機関への受診についてはことし7月、東京都医師会も考え方を示していて、すぐに医療機関を受診する必要があるケースとして、生後3か月未満の赤ちゃんで38度以上の発熱がある場合や、子どもの顔色が悪くぐったりしている場合、それに水分を受け付けない場合などを挙げています。

一方で、発熱していても、食事や水分がとれていて、機嫌がいいなど状態が安定している場合は、発熱から6時間から12時間ほど空けて受診すれば検査を行うことができるとしています。

「子どもの全身状態をみて受診のタイミング考えてほしい」

「クリニックばんびぃに」の時田章史院長は「インフルエンザも流行しており、年末年始で医療機関が閉まる時期は特に救急の医療機関がひっ迫する可能性がある。ふだんから解熱剤を予備として保存しておき、子どもの状態が安定していれば解熱剤をうまく使いながら様子をみてほしい。一方で、状況によっては早めの受診が必要になってくるので、子どもの全身状態をみて受診するタイミングを考えてほしい」と話していました。