ALS患者 嘱託殺人事件 元医師に懲役2年6か月の判決 京都地裁

4年前、難病のALSを患う京都市の女性を本人からの依頼で殺害した罪などに問われた46歳の元医師に対し、京都地方裁判所は「医師でありながら被害者をろくに診察せず犯行に及んでいて、強い非難に値する」として懲役2年6か月の判決を言い渡しました。

元医師の山本直樹被告(46)は、医師の大久保愉一被告(45)とともに4年前、全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病のALSを患っていた京都市の林優里さんから依頼を受け、薬物を投与して殺害したとして嘱託殺人などの罪に問われました。

山本被告の弁護士は「女性の自宅には行ったが共謀はしておらず、実行したのは大久保被告だ」などとして無罪を主張していました。

19日の判決で、京都地方裁判所の川上宏裁判長は「大久保被告は被害者の介護ヘルパーに気付かれないために、山本被告に同行を依頼したと考えるほかない。当初の計画を逸脱していないことなどからも、山本被告が目的を認識したうえで協力していたと推認できる」と指摘しました。

そのうえで「山本被告は見張りなどの従属的な立場だったが重要な役割を担い、医師でありながらその日に会ったばかりの被害者をろくに診察せず犯行に及んだ意思決定は強い非難に値する」として懲役2年6か月を言い渡しました。

大久保被告の初公判は来月、1月11日に開かれる予定です。

亡くなった患者の父親「思いとどまる気持ちはなかったのか」

判決について、林優里さんの83歳の父親は「有罪となるのは当然で、判決は相当なものだと思う。山本被告は大久保被告の指図を拒否できない弱みがあったのではないか」としています。

そのうえで、大久保被告の裁判について「大久保被告は、事件の時に娘と目が合っていると思うので思いとどまる気持ちはなかったのか、人を助けることを仕事にしている人間がなぜ薬を注入できたのか聞いてみたい」とコメントしています。