フーシ派の紅海の船舶攻撃受け 米国防長官 “有志連合創設へ”

紅海を航行中の船舶に対し、イエメンの反政府勢力・フーシ派による攻撃が相次いでいることを受けて、アメリカのオースティン国防長官はイギリスやバーレーンなどと有志連合を創設すると発表しました。アメリカのメディアは、多国籍の海軍部隊によって商船を守る対策に乗り出すと伝えています。

イエメンの首都サヌアを含む北部を掌握する反政府勢力・フーシ派は18日、イスラエルに関係する石油タンカーと貨物船の合わせて2隻に対し攻撃を行ったとSNSを通じて発表しました。

この攻撃についてアメリカ中央軍も発表を行い、紅海南部でケイマン諸島船籍の石油タンカーが、フーシ派の支配地域から発射された無人機と弾道ミサイルによる攻撃を受けたということです。

また、別の貨物船からも水中で爆発があったと報告があったということですが、いずれの船舶でもけが人は確認されていないとしています。

ハマスとの連帯を掲げるフーシ派は、ガザ地区に十分な支援物資が行き届くまで、紅海を航行中の船舶に対する攻撃を続けると主張しています。

こうした状況を受け、アメリカのオースティン国防長官は18日、イギリスやバーレーン、カナダなど少なくとも10か国で有志連合を創設し、対策の強化にあたると発表しました。

アメリカの一部のメディアは、多国籍の海軍部隊によって商船を守る対策や、紅海やアデン湾のパトロールに乗り出すなどと伝えています。

また、オースティン長官は19日にフーシ派による攻撃への対策について協議するため、同盟国などとオンラインの閣僚級会合を開くことも明らかにしました。

海上幕僚長「有志連合に加わるという認識はない」

紅海での情勢を受けてアメリカがイギリスなどと有志連合を創設すると発表したことについて、海上自衛隊トップの酒井良海上幕僚長は19日の記者会見で「今のところ海上自衛隊の護衛艦と航空機がアメリカが発表した有志連合に加わるという認識はない。今後も海賊対処の行動計画に従い、活動エリアも紅海に入ることはないと考えている」と述べ、アデン湾での海賊対処活動を継続するという考えを示しました。

そのうえで、イエメンの反政府勢力・フーシ派からの攻撃のリスクについては「フーシ派の活動や脅威は同盟国や連携国と情報交換しながら、冷静に判断する必要があり、その中で部隊の行動について不断に検討していく」と述べました。

また、北朝鮮の弾道ミサイルの発射に関する情報を、日米韓3か国がリアルタイムで共有する仕組みの運用が19日から始まったことについて「発射直後に韓国が探知したミサイルの情報が即座に日本側に共有され、日本側の探知以前に情報を入手できるなどの意義がある。この地域で日米韓が情報共有を図り共同訓練を加速させることは戦略的にも意義があり、今後も対処力を向上させ、平和と安定に貢献する」と述べました。

防衛省「引き続きアデン湾における自衛隊の海賊対処活動行う」

防衛省は「引き続き諸外国などと緊密に連携しながら安全に万全を期しつつ、アデン湾における自衛隊の海賊対処活動を行っていく」としています。

防衛省幹部の1人は「自衛隊の現在の活動海域に紅海は含まれていない。中東全体を見渡せばアデン湾で活動をする国も必要だ。アデン湾での任務を適切に行うことで周辺海域の安定化に貢献できるだろう」と話しています。

派遣部隊の周辺に弾道ミサイルも

海上自衛隊は紅海と海峡を通じてつながるイエメン沖のアデン湾で2009年から海賊対処にあたっていて、現在は護衛艦1隻と哨戒機1機を派遣しています。

先月下旬にはアデン湾でタンカーが武装勢力に乗っ取られ、護衛艦「あけぼの」と、哨戒機が現場海域で警戒監視や情報収集にあたり、アメリカ軍などに情報提供を行いました。

海上自衛隊などによりますとその際、弾道ミサイルが発射され「あけぼの」から18キロ以上離れた海域に落下したとみられています。

アメリカ国防総省は、弾道ミサイルはフーシ派が支配する地域から2発発射されたとしています。

一方、先月30日にNHKの取材に応じたフーシ派のアベド・トール報道官は弾道ミサイルの発射について関与を否定しました。