ロシア外相「領土めぐる論争は存在せず」強硬姿勢改めて示す

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアのラブロフ外相は、ロシアメディアのインタビューで「日本を含むどの国とも領土をめぐる論争はもはや存在しない」と述べました。北方領土問題を含む平和条約交渉の中断を一方的に表明するなかで日本への強硬姿勢を改めて示した形です。

ロシア外務省は18日、ラブロフ外相がロシア国営の「第1チャンネル」に応じたインタビューを映像とともに公開しました。

この中でラブロフ外相はNATO=北大西洋条約機構の加盟国を攻撃する意図はないとするプーチン大統領の最近の発言を引用しながら「NATO諸国と領土をめぐる争いはない」と述べました。

その上で「全体として、われわれにはもはや日本を含むどの国とも領土をめぐる論争は存在しない。すべて終わっている」と強調しました。

ロシアはウクライナ侵攻開始後の去年3月、日本が厳しい制裁措置を講じたことに反発して北方領土問題を含む平和条約交渉を中断すると一方的に表明しました。

日本などアジア太平洋地域を担当するルデンコ外務次官も今月16日にロシアのインターファクス通信が報じたインタビューで、日本との平和条約交渉などを続けるのは難しいとの認識を示していました。

ラブロフ外相の発言は日本への強硬姿勢を改めて示した形です。

林官房長官「責任転嫁の対応 極めて不当」

林官房長官は閣議のあとの記者会見で「日ロ間では、領土問題が解決されていないがゆえに平和条約交渉が行われてきた。現下の事態はロシアによるウクライナ侵略に起因して発生しているものであり、日本側に責任を転嫁しようとする対応は極めて不当で断じて受け入れられない」と述べました。

その上で「日ロ関係は厳しい状況にあり、現在、平和条約交渉について具体的に申し上げられる状況にないが、政府としては北方領土問題を解決して平和条約を締結するという方針を堅持していきたい」と述べました。