【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(12月19日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる19日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナ軍 ザルジニー総司令官の部屋から盗聴器見つかる

ウクライナ軍の参謀本部は18日、ザルジニー総司令官が使う部屋から盗聴器が見つかったとSNSで発表しました。

発見された盗聴器は作動していない状態で、誰が仕掛けたのかなど詳しい経緯は明らかにされておらず、ウクライナ保安庁は捜査を開始したとしています。

これについてザルジニー総司令官は地元のメディアに対し、盗聴器が見つかったのは自身が使う複数の部屋の1つで、長期間使っていなかったものの、18日に使う予定だったとした上で「これは戦争だ。何が起きてもおかしくはない」と述べています。

ウクライナ軍の幹部や関係者を狙ったと見られる動きはこれまでも起きていて、先月にはウクライナ国防省の情報部門のトップ、ブダノフ情報総局長の妻が体調を崩し、地元メディアは体内から重金属が発見されたと報じています。

受刑者などの部隊 十分治療受けられないまま前線か

ロシア軍は、ウクライナ東部で攻勢を強めています。

イギリス国防省は東部ドネツク州のアウディーイウカなどで激しい戦闘を続ける、受刑者などで構成された部隊「ストームZ」について、手足の切断など大けがをしても十分治療を受けられないまま前線に戻されている可能性が高いとする分析を発表し、ロシア側が犠牲をいとわない戦い方を続けているとの見方を示しています。

米 今後のウクライナ支援 途絶える可能性

ウクライナ支援をめぐってはアメリカ議会で野党・共和党から継続に消極的な意見が出ていることから、新たな支援のための緊急予算の審議が滞っています。

ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は18日、記者団に対し年内にあと1回、ウクライナに対して追加の軍事支援を行うものの、緊急予算が承認されなければ今後の支援が途絶える可能性があると危機感を示しました。

カービー調整官によりますと、ウクライナにアメリカ軍の在庫から兵器や弾薬を送ったあとに在庫を補充するための資金が枯渇するということです。

カービー調整官は「ウクライナは依然としてわれわれの助けを必要としている」と述べて議会に緊急予算の承認を急ぐよう求めました。

アメリカの支援の行方は戦況を大きく左右する可能性があるものの、緊急予算が議会で承認される見通しは立っていません。

ウクライナ軍司令官「弾薬不足」訴え

ウクライナ東部ではロシア軍がドネツク州の拠点で、州都に近いアウディーイウカを包囲しようと周辺地域で攻撃を繰り返すなど、激しい戦闘が続いているもようです。

前線でウクライナ軍部隊の指揮を執るタルナウシキー司令官はロイター通信が18日に伝えたインタビューで「弾薬に問題がある。支援を受けてはいるが十分でない。ロシア軍の攻撃は絶えず行われている」と述べ、弾薬不足に直面していると訴えました。

そして「すべての前線で戦力を維持することはできない。攻撃を続ける地域もあれば守備にまわる地域もある」と述べ、反転攻勢を開始して半年が過ぎる中で、一部で作戦の縮小を余儀なくされているという認識を示しました。

ウクライナ国防省 情報総局長「動員は避けられない」

ウクライナ国防省の情報部門のトップ、ブダノフ情報総局長は17日、討論会で「現在の兵力を契約軍人だけでは埋め切れず、動員は避けられない。弾薬と同じ問題だ」と述べました。

その一方で「動機づけを見いだせなければどれだけ徴兵しようと効果はほぼゼロになる」とも述べ、ウクライナで社会問題になっている徴兵逃れにも対処する必要があるという考えを示しました。

ロシア ラブロフ外相「領土めぐる論争 存在しない」

ロシア外務省は18日、ラブロフ外相がロシア国営の「第1チャンネル」に応じたインタビューを映像とともに公開しました。

この中でラブロフ外相はNATO=北大西洋条約機構の加盟国を攻撃する意図はないとするプーチン大統領の最近の発言を引用しながら「NATO諸国と領土をめぐる争いはない」と述べました。

そのうえで「全体として、われわれにはもはや日本を含むどの国とも領土をめぐる論争は存在しない。すべて終わっている」と強調しました。