香港 リンゴ日報創業者の裁判始まる 香港国家安全維持法違反罪

中国政府に批判的な論調で知られた香港の新聞「リンゴ日報」の創業者、黎智英氏が香港国家安全維持法違反の罪などに問われている裁判が、18日から始まりました。欧米からは黎氏を釈放するよう求める声があがっています。

香港の新聞「リンゴ日報」の創業者、黎智英氏は、香港の民主化運動を長年支援してきましたが、外国勢力と結託して国家の安全に危害を加えたとして香港国家安全維持法違反の罪などに問われています。

18日から本格的な審理が始まり、18日朝は警察官による厳重な警備が敷かれる中、250人を超える人たちが傍聴に訪れました。

黎氏側は全面的に争う姿勢です。

黎氏は3年前に逮捕・起訴され、その翌年、新聞が発行停止に追い込まれました。

黎氏は、このほか複数の裁判で実刑判決を受け、身柄の拘束は1000日を超えています。

裁判にあわせてアメリカ政府は中国政府が、黎氏の弁護士の選択を拒否したと非難したほか、イギリス政府は「香港国家安全維持法は香港の自由と権利を著しく傷つけた」と批判するなど、欧米からは黎氏の起訴を取り消し、釈放するよう求める声があがっています。

米国務省 “黎氏や民主活動家 直ちに釈放を”

黎智英氏に対する裁判を前に、アメリカの国務省のミラー報道官は17日、声明を発表し、起訴について改めて非難しました。

そのうえで香港当局に対して黎氏や、拘束されているそのほかの民主活動家たちを直ちに釈放するよう求めました。

さらに「言論の自由に対する抑圧や情報の自由な流れを制限する取り組みは香港の民主主義制度を弱体化させ、国際的なビジネスや金融の拠点としての香港の評判を傷つけた」として中国政府や香港当局に対し報道の自由を尊重するよう訴えました。

中国「露骨な政治操作 中国側は断固として反対」

香港で裁判が始まった黎智英氏について、中国外務省の汪文斌報道官は18日の記者会見で「香港に混乱を引き起こした黒幕であり、香港の繁栄と安定を破壊した」と強く非難しました。

そのうえで、アメリカなどから黎氏の釈放を求める声があがっていることについて「国際法の原則に対する重大な違反だ。露骨な政治操作であり、中国側は断固として反対する」と述べ、反発しました。