来年度からの介護報酬 1.59%プラス改定へ最終調整 厚生労働省

厚生労働省が来年度からの介護報酬の改定率を全体で1.59%のプラス改定とする方向で最終調整を行っていることがわかりました。このほか、現在は複数ある介護職員の処遇改善のための加算を一本化することによる賃上げ効果などもあわせると2.04%相当の改定となり、介護職員の賃上げが実現できる見通しだとしています。

介護サービスを提供した事業者に支払われる介護報酬は3年に一度見直されることになっていて、介護職員の給与の原資にもなります。

介護が必要な高齢者の数は増加する一方、他業種の賃上げで介護職員の給与が相対的に低くなり、他の業界に人材が流出していて、今回の改定でどのような見直しが行われるかが焦点となっていました。

こうした中、厚生労働省は介護職員の処遇改善として0.98%を上乗せし、全体で1.59%のプラス改定にする方向で最終調整を行っていることがわかりました。

実現すれば、制度ができた2000年以降、2番目に高い引き上げ率となります。

このほか、現在は複数ある介護職員の処遇改善のための加算を一本化することによる賃上げ効果が0.3%相当見込まれることなどもあわせると2.04%相当の改定になり、介護職員の賃上げが実現できる見通しだとしています。

来週、武見厚生労働大臣と鈴木財務大臣が大臣折衝を行った上で、正式に決定することにしています。

介護職員 人材確保が課題も 給与は相対的に低い状況続く

介護が必要な高齢者を支えるのに必要な介護職員の数は今年度はおよそ233万人と試算されていますが、2年前、2021年の介護職員の実数は215万人で、人材確保が課題です。

介護職員は今後、2025年度には243万人、2040年度には280万人必要になると見込まれていて、このままでは人手不足で介護保険のサービスが維持できなくなるおそれがあります。

人材の確保が進まない理由の1つは介護職員の給与が低いことです。

2022年の厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」で賞与込みの給与を比較したところ、すべての産業の平均が月に36万1000円なのに対し、介護職員は月に29万3000円で、全産業の平均よりも6万8000円低くなっています。

処遇改善のための加算などの対策で介護職員の給与は10年前と比べて4万円近く上がりましたが、他の職種で賃上げの動きが相次ぐ中で、介護業界の給与は相対的に低い状態が続いています。

このため、介護職員の処遇改善が求められていて、今回、職員の給与の原資となる「介護報酬」がプラス改定されることになりました。