イスラエル軍の人質誤射 現地に衝撃広がる 今後の作戦に影響も

イスラエル軍がガザ地区でハマスに拘束されていた人質3人を誤って射殺したことを受け、ネタニヤフ首相が哀悼の意を示すなど、現地では衝撃が広がっています。イスラエル側はいまも拘束されている130人以上の人質の救出に全力を挙げる方針ですが、今回の事態が今後の作戦に影響することも予想されます。

イスラエル軍は、15日、ガザ地区北東部のシュジャイヤで、ハマスに拘束されていた人質3人を「脅威」だとみなし、誤って射殺したことを明らかにしました。

射殺された人質はいずれも20代の男性で、拘束場所から自力で逃げたか、ハマス側に放棄されたとみられるとしています。

発表を受けて、ネタニヤフ首相はSNSに投稿し「耐え難い悲劇だ。今晩、イスラエル全土が悲しみに暮れることになるだろう」と哀悼の意を示し、ガラント国防相も「すべてのイスラエル人にとって苦痛だ」と投稿しました。

イスラエルのメディアも大きく伝えていてこのうちタイムズ・オブ・イスラエルは、人質が射殺されたシュジャイヤの現場は、今週ハマスの戦闘員との戦闘でイスラエル軍の指揮官を含む9人の兵士が戦死した場所の近くで、一帯ではハマスの戦闘員が小規模なグループに分散して抵抗を続けていると伝えています。

イスラエル軍の報道官は、15日の会見で、武器をもたないハマスの戦闘員が自爆装置を身につけて兵士に接近するケースも起きているとして、現場の兵士は難しい対応や判断を求められていると説明しました。

軍によりますと、ガザ地区ではいまも130人以上の人質が拘束されていて、救出に全力を挙げる方針ですが、ハマス側と激しい戦闘が続く中、今回の事態が、今後の作戦に影響することも予想されます。

誤って射殺された3人のイスラエル人

人質の解放を訴えるイスラエルの市民団体が公表したイスラエル軍に誤って射殺された3人のイスラエル人のプロフィールです。

このうち当時25歳だったサメル・タラルカさんはイスラエル南部に住んでいてガザ地区近くのニルアムという集落にあるニワトリのふ化場で仕事をしていました。

ハマスによる大規模な攻撃があった10月7日も父親と一緒に仕事をしていて、「攻撃を受けてけがをした」と家族に電話したのが最後の連絡だったということです。

10人きょうだいの長男でバイクで各地を巡るのが趣味だったということです。

また、28歳だったヨタム・ハイムさんは、ガザ地区近くの集落クファルアザに住んでいました。

メタルバンドのメンバーとして音楽活動をしていたハイムさんはドラムが担当で、人質になった当日もテルアビブで行われる音楽イベントに参加して演奏する予定だったということです。

26歳だったアロン・シャムリズさんもガザ地区近くの集落クファルアザに住んでいました。

バスケットボールが好きでこの秋からは大学でコンピューター開発を学ぶ予定だったということです。