肺がん患者の遺伝子検査 約半数の患者が検査受けず

肺がんの患者の遺伝子を幅広く調べて最適な薬を探す遺伝子検査について、国内29の医療機関で実施状況を調べた結果、およそ半数の患者が検査を受けておらず、普及に課題があるとする調査結果を近畿大学などのグループがまとめました。

肺がんの診療では、患者に最適な薬を探すため、がんの原因となる複数の遺伝子を同時に調べる「マルチ遺伝子検査」が、4年前に公的な医療保険の適用になっています。

近畿大学や鳥取大学などの研究グループは、その翌年からおよそ1年間に国内29の医療機関で、肺がんの9割近くを占める「非小細胞肺がん」と診断されたおよそ1500人を対象に遺伝子検査の実施状況を調べました。

その結果、マルチ遺伝子検査を受けた患者は全体の47.7%にとどまっていて、普及に課題があることがわかったということです。

さらにその後の治療について調べたところ
▽検査結果をもとに治療薬が使えたグループは半数が生存していた期間が24.3か月だった一方
▽原因となる遺伝子が分からなかったグループは11か月でした。

研究グループの代表を務める近畿大学の高濱隆幸講師は「中には検体が十分に取れず検査ができなかったケースもあるとみられるが、肺がんの治療は年々進歩していて、薬が見つかれば効果が期待できるので遺伝子検査の普及を進める必要がある」と話していました。