中国 “ミャンマー軍と少数民族側 一時停戦で合意”と発表

ミャンマー東部で軍と少数民族の武装勢力との間で戦闘が激化する中、中国政府は14日、中国の仲介でミャンマー軍と少数民族側が一時的に停戦することで合意したと発表しました。ただ、これまでのところ、戦闘を行っている双方からの発表はありません。

ミャンマーでは、ことし10月下旬に3つの少数民族の武装勢力が東部シャン州で一斉に攻撃を開始し、民主派勢力とも連携してミャンマー軍に対する攻勢を強めてきましたが、軍は今月に入って中国の仲介で少数民族側と会談したことを明らかにしています。

こうした中、中国外務省は14日「中国の仲介によりミャンマー軍と3つの少数民族の武装勢力が中国国内で和平協議を行い、一時的な停戦と対話を維持していくことなどで合意した」と発表しました。

ただ、少数民族側は13日、SNS上で軍を打倒するまで戦闘を継続する考えを強調したばかりで、これまでのところミャンマー軍と少数民族の武装勢力、いずれからも正式な発表はありません。

中国は停戦の期間など合意の詳細については明らかにしておらず、どこまで合意に実効性があるか不透明な状況です。

中国がミャンマー軍と少数民族の武装勢力の仲介を行う背景には、ミャンマーとの国境地帯の安定が経済的にも政治的にも重要な意味を持っているためだとみられます。

経済的には、ミャンマーは中国内陸部とインド洋を陸路でつなぐ地理的に重要な地域で、習近平国家主席が打ち出した巨大経済圏構想「一帯一路」のルートの1つ「中国・ミャンマー経済回廊」があり、道路や鉄道などのプロジェクトが計画されています。

また、インド洋から中国へ原油と天然ガスを運ぶパイプラインも整備され、エネルギー戦略上、重要なルートとなっています。

特に、激しい衝突が起きてきたミャンマー東部のシャン州の国境地域は貿易の重要な中継点となっていて、こうした場所が影響を受けることは避けたい考えです。

一方、政治的には中国国内で社会の安定が重視される中、中国としては衝突の激化によってミャンマー側から避難民が流入して混乱が波及することを懸念しているとみられます。

先月下旬には中国軍が国境封鎖を想定した演習を始めたと発表するなど、情勢の不安定化に警戒感を強めていました。

また、中国はミャンマー軍と少数民族側の仲介役となることで、国際社会での存在感を高めたいという思惑もあるとみられます。

最近では、対立してきたサウジアラビアとイランの外交関係の正常化を仲介したほか、イスラエル・パレスチナ情勢でも発言を重ね、地域紛争などに積極的に関与する姿勢を示しています。

中国外務省の毛寧報道官は今月12日の会見で「情勢の緩和はミャンマーのすべての当事者の利益に合致し、中国との国境地帯の安定の維持にも資するものだ」と述べています。