「みかじめ料」訴訟 山口組組長らに賠償増額命じる 名古屋高裁

指定暴力団・山口組の組長らに「みかじめ料」を支払わされたとして、愛知県の男性が損害賠償を求めた裁判で、2審の名古屋高等裁判所は、組長側の時効の主張を認めた1審の判決を見直し、「男性が組長らを恐れて賠償を求めなかったことに乗じて組長らが時効を主張するのは許されない」などとして1審よりも大幅に増額した750万円余りの賠償を命じました。

愛知県で事業を営む男性は、指定暴力団・山口組トップの司忍、本名、篠田建市組長と、傘下組織の幹部に11年にわたってみかじめ料合わせて770万円余りを支払わされたとして、4年前、組長らに1000万円余りの損害賠償を求める訴えを起こしました。

1審の名古屋地方裁判所は去年、組長らの責任を認定した一方で、大半は損害と加害者を知った時から3年がたち、時効が成立しているとして47万円の賠償を命じ、男性が控訴していました。

14日の2審の判決で、名古屋高等裁判所の松村徹裁判長は、「男性は、会社や家族に危害を加えられるおそれがあるかのように脅されて金銭を払わされ、組長らを恐れた状態だった。みかじめ料の徴収自体が原因で男性は賠償を求めなかったのだから、組長らがそれに乗じて時効を主張するのは民法上の権利のらん用にあたり許されない」などとして、組長らに対し1審よりも大幅に増額した750万円余りの賠償を命じました。

原告弁護団「被害者が救済される大きな力になるのでは」

原告の弁護団によりますと、みかじめ料をめぐる訴訟で暴力団側の時効の権利を制限する判断が示されたのは、初めてだということです。

弁護団長の田中清隆弁護士は、「原告が賠償を求める権利の行使をおさえつけられていたということを今回認めていただいた。これで全国のみかじめ料の被害者が改めて立ち上がってくれることを期待できるし、みかじめ料の事件でなく一般的な不法行為の事件でも、被害者が救済される大きな力になるのではないか」と話していました。