【14日詳細】人道状況悪化の中 米高官イスラエル首相と会談へ

イスラエル軍のガザ地区への地上侵攻で民間人の犠牲者が増加し人道状況が悪化するなか、アメリカのホワイトハウスで安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官が14日、イスラエルを訪れ、状況の改善に向けてネタニヤフ首相と会談することになっていて、進展があるのかが焦点となっています。

イスラエルやパレスチナに関する日本時間12月14日の動きを随時、更新してお伝えします。

米 サリバン大統領補佐官 イスラエル訪問 状況改善するか焦点

パレスチナのガザ地区ではイスラエル軍がイスラム組織ハマスのガザ地区のトップ、シンワル指導者が潜伏している可能性があると見ている南部ハンユニスなどで軍事作戦を続けていてこれに対し、ハマスはロケットランチャーなどで抵抗し激しい戦闘が続いています。

戦闘の巻き添えになる民間人の犠牲の増加は歯止めがかからずガザ地区の保健当局によりますとこれまでの死者は女性や子どもを含む1万8608人に上っています。

さらに保健当局によりますとガザ地区各地の避難所では詰めかける避難民で過密状態になり感染症が広がっていて、これまでに32万件あまりの感染症のケースが報告されていて人道状況は厳しさを増しています。

こうしたなかアメリカのホワイトハウスで安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官が14日、イスラエルを訪れネタニヤフ首相と会談し、ガザ地区とイスラエルの境界にあるケレム・シャローム検問所を通じた支援物資の搬入や民間人の犠牲を減らすことについて協議する見通しです。

アメリカ側はケレム・シャローム検問所を通じた支援物資の搬入についてネタニヤフ首相から前向きな発言があったとしていて人道危機が深まる中、進展があるのかが焦点となっています。

“イスラエル軍投下 半数近くが無誘導爆弾か”犠牲増の可能性

アメリカのCNNは13日、イスラエル軍がガザ地区に投下した爆弾のうち半数近くが標的に向けて精密な誘導ができないものであるとするアメリカの情報機関の分析を伝えました。

CNNは、精度の低い爆弾の使用が民間の犠牲者の急増につながる一因となっている可能性があるとしています。

CNNによりますと、アメリカの情報機関を統括する国家情報長官室が分析した資料を見た情報筋の話として、イスラエル軍が投下した2万9000発の爆弾のうち、およそ40%から45%が標的に向けて精密な誘導ができないものだということです。

その上で、こうした精度の低い爆弾は特にガザ地区のような人口密集地で被害が広がりやすく、イスラエルが高い割合で使用していることが民間の犠牲者の急増につながる一因となっている可能性があると伝えています。

イスラエル軍の広報担当者はCNNの取材に対し「使用された兵器の種類については触れない」と話しているということです。

戦闘が長期化する中、ガザ地区の保健当局はこれまでの死者が1万8608人に上ったと明らかにし、民間人の犠牲に歯止めがかからない状況となっています。

犠牲者の急増についてアメリカの有力紙、ニューヨーク・タイムズは専門家の話として、死者数が増加するペースは、今世紀ではほとんど前例がなく、イラクやシリア、アフガニスタンでの戦争で犠牲者を出したときよりも早いペースだと伝えています。

「ハマスがガザ地区統治すべき」6割 侵攻後初の世論調査で

パレスチナの調査機関がことし10月7日のイスラム組織ハマスによる奇襲攻撃の後、初めて世論調査を行った結果、回答者の60%が戦闘のあともハマスがガザ地区を統治すべきだと考えていることがわかりました。

世論調査は先月22日から今月2日にかけてヨルダン川西岸とガザ地区のパレスチナ人1231人を対象に行われました。

調査ではことしの10月7日にハマスがイスラエル側に奇襲攻撃を行った判断が正しかったかどうか尋ねたところ「正しかった」と回答した人は、ヨルダン川西岸で82%、ガザ地区で57%でした。

また今回の戦闘のあと、どの勢力がガザ地区を統治すべきか尋ねたところ、「ハマス」と回答した人が60%、「アッバス議長が率いるパレスチナ暫定自治政府」が7%、「イスラエル軍」は2%で、ハマスへの支持の根強さをうかがわせています。

「ハマス」と回答した人を地域別に見ると、ガザ地区で38%ヨルダン川西岸で75%でした。

パレスチナのどの政治勢力を支持するか尋ねたところ、ことし9月の調査では、アッバス議長が率いるファタハが26%、ハマスが22%だったのに対し、今回はファタハが17%、ハマスが43%となり、ハマスへの支持が2倍近くに増えています。

ハマスへの支持を地域別に見ると、ヨルダン川西岸では12%から44%と3倍以上、増えています。

今回の調査結果はガザ地区で1万人以上の住民が犠牲になる中でもパレスチナ人の間でハマスへの支持が根強いほか、ガザ地区とヨルダン川西岸では今回の戦闘の受け止めに開きがあることも示しています。

「避難所で32万件余の感染症を確認」ガザ地区保健当局

ガザ地区の保健当局は13日、ガザ地区各地にある避難所でこれまでに32万件あまりの感染症が確認されているとしています。

はやっている感染症についてWHO=世界保健機関は7日、ことし10月中旬以降、呼吸器系の感染症が12万9230件、下痢の症状をともなう感染症が9万4858件などとしています。

とりわけ住民が身を寄せる避難所は過密状態で衛生環境は悪化している上、このところは雨季に入り、感染症がさらに広がることが懸念されています。

OCHA=国連人道問題調整事務所は感染症の拡大は現地の医療態勢をいっそうひっ迫させ、住民を死に至らしめるリスクも拡大していると指摘しています。

雨で避難民のテントが水浸し「感染症リスクに直面」国連

イスラエル軍はイスラム組織ハマスのガザ地区のトップ、シンワル指導者が潜伏している可能性があると見る南部ハンユニスや、北東部シュジャイヤなどで作戦を進めていて、ハマスとの間で激しい戦闘になっています。

一方、爆撃など戦闘の巻き添えになるなどして、民間人の犠牲も増え続けていて、ガザ地区の保健当局によりますと、これまでの死者は女性や子どもを含む1万8608人に上っています。

ガザ地区では13日、まとまった雨が降り、現地からの映像では、避難している人たちが暮らすテントが水浸しになっている様子が写っています。

UNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関はSNSへの投稿で「住まいを追われた人たちは今、感染症のリスクに直面している」として人道状況のさらなる悪化が懸念されると指摘しています。

ハマス最高幹部 テレビで演説 ガザ地区の今後を語る

ガザ地区でイスラエルが攻勢を強める中、イスラム組織ハマスのハニーヤ最高幹部が13日、テレビ演説を行い、ガザ地区の今後について、「ハマスや他のパレスチナのグループが関与しない取り決めは幻想だ」などと述べました。

そのうえでハニーヤ最高幹部は、ハマスがイスラエルの侵攻を終わらせるため、ヨルダン川西岸のパレスチナ暫定自治政府との政治的な対立を解消し、パレスチナ国家の樹立に向け協力するとの考えを示しました。

イスラエルのネタニヤフ首相が「イスラエル軍はガザ地区を管理し続ける」と述べたことなどが伝えられる中、イスラエルによる統治は認められないと強調した形です。

イスラエル軍 指揮官を含む10人が戦死

イスラエル軍は13日、ガザ地区北東部シュジャイヤでハマスの戦闘員が地下トンネルなどに潜む一帯を制圧しようとした部隊が、攻撃を受けるなどして部隊の指揮官を含む10人が戦死したと明らかにしました。

ロイター通信は、イスラエル軍の1日の戦死者としては、ことし10月31日に15人が戦死して以来、最も多くなったと伝えています。

ハマスも13日、声明を発表し「ガザを侵略者の墓場にするという約束を果たした」などと主張し、激しく抵抗しています。

ガザ地区 死者が1万8608人に

戦闘が長期化する中ガザ地区の保健当局は、13日、これまでの死者が1万8608人に上ったと明らかにし、民間人の犠牲に歯止めがかからない状況となっています。

ネタニヤフ首相「われわれを止めることはできない」

12日、国連総会の緊急特別会合では人道目的の即時停戦を求める決議が採択されましたが、イスラエルのネタニヤフ首相は、13日、「大きな痛み、国際的な圧力に直面しながらも言う。われわれを止めることはできない」と述べあくまでも攻撃を続ける方針を強調しました。

ガザ地区でまとまった雨 テントが浸水 避難生活厳しさ増す

雨季に入っているガザ地区では、13日、まとまった雨が降りました。

ガザ地区各地から多くの人が身を寄せている南部のラファで撮影された映像では、テントが立ち並ぶ場所に大きな水たまりができ、地面がぬかるんでいるのがわかります。

雨をしのぐためテントをフィルムで覆っている人もいますが、覆いが破れてしまうこともあるということです。

避難生活を送る男性は「テントが浸水したので、子どもたちを毛布にくるんでここに来た。雨の中、どうすればいいのか、どこに行けばいいのかわかりません」と話していました。

また、家が破壊され避難先を転々としているという女性は、「5人で毛布1枚しかない。食べ物も飲み水もなく、生きていくのが大変です」と窮状を訴えました。

イスラエル軍の攻撃により住む場所を追われる人が増える中、避難生活は厳しさを増しています。